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神鋼データ不正 製造業の信頼揺るがす

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 神戸製鋼所がアルミ・銅製の部材の一部について、強度などの性能データを改ざんした上で約200社に出荷していた。

 改ざんは組織的で長期にわたる。製造業の信頼を根幹から揺るがし市民生活を脅かす不祥事だ。

 アルミ部材は車、新幹線、航空機、ロケットなどに幅広く使われており、不安が広がっている。

 納入先企業の一部は安全性を確認したと話すが全体像は不明だ。

 強度不足の部材で造られた乗り物がもし事故を起こしたら…。そう考えると背筋が寒くなる。

 見過ごせないのは、神鋼が納入先企業名など詳細の公表をかたくなに拒んでいる点だ。取引先に配慮しているのだろうが、消費者不在も甚だしい。

 問題の部材がどの企業のどの製品に使われたのか。製品は本当に安全なのか。ほかの部材にデータ改ざんはないのか。まず神鋼は事態の全容を早急に公表すべきだ。

 神鋼は顧客から求められた仕様に合わない部材について、適合しているかのように検査証明書のデータを書き換えていたという。

 素材や部品はあらかじめ決めた仕様・性能どおりに納入されるはずだ―。企業間の取引は通常こうした信頼関係に基づき行われる。

 神鋼は、これにひびを入れた。素材で部品を造り、部品で製品を造るという製造業の分業体制を危うくしかねない。

 深刻なのは、神鋼が製品供給網の上流に位置する部材メーカーであることだ。ここで不良品を出すと世界規模で拡散しうる。

 部材のもとになる鉄粉でも改ざんが判明した。神鋼の不正は拡大しそうだ。日本のものづくりの信頼が損なわれる恐れがある。

 神鋼はかねて不祥事を重ねてきた。2008年には子会社で鋼材の強度偽装が発覚し、16年にはバネに使う鋼線の強度データをグループ会社が改ざんしていた。

 さかのぼれば総会屋への利益供与や、ばい煙データ改ざんといった事件も引き起こしている。

 製品の安全や法令より効率を優先する企業体質が改まっていないのではないか。今回も情報を隠そうとする姿勢が目に余る。

 問題は神鋼にとどまらない。

 三菱自動車は燃費データ改ざんで業績が悪化。同社を傘下に収めた日産自動車も、車両の完成検査を無資格者に担わせる不正を行い大規模リコールに追い込まれた。

 企業は生産体制を一から見直しし、日本の製造業の伝統である安全・高品質を取り戻してほしい。

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