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自民の改憲論議 「日程ありき」は疑問だ

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 自民党が憲法改正推進本部での論議を1カ月ぶりに再開した。

 焦点の9条について、戦力不保持を定める1、2項は残したまま自衛隊を明記する安倍晋三首相の案を踏まえ、「9条の2」を新設する方向で調整する。来年の発議という目標も堅持するという。

 だが議論の中では、党がかつてまとめた改憲草案と首相案との矛盾に対して強い疑問が示された。

 一方、連立を組む公明党の山口那津男代表は「現状では9条改正は困難」と述べた。与党内にすら異論を残したまま、発議へと突き進む姿勢は、拙速に過ぎる。

 国のかたちを規定する憲法が目先の政局と絡めて論じられるのにも違和感がある。国民の総意を踏まえた論議に立ち返るべきだ。

 推進本部の保岡興治本部長は会合後、来年発議の目標を「取り下げる必要は毛頭ない」と述べた。

 今秋の臨時国会でたたき台となる改憲案を示し、次期通常国会には改正原案を提出するという。

 だが首相は、先月の記者会見で改憲について「スケジュールありきではない」と述べたはずだ。

 学校法人「加計(かけ)学園」問題や陸上自衛隊の日報隠蔽(いんぺい)による内閣支持率の急落を受け、強引な政権運営を改めたのではなかったか。

 支持率が回復に転じた途端、「日程ありき」が息を吹き返した形である。あまりにも安易だ。

 党内の議論は収束が見えない。

 石破茂元幹事長は、国防軍創設を明記した2012年の党草案が「党議決定だ」として首相案に疑問を表明。首相案と草案の両論併記という声も出た。一方、公明党を念頭に置いた慎重論も残る。

 にもかかわらず発議を急ぐ背景には、衆参で「改憲勢力」が3分の2を占めているうちに、という思惑がのぞく。憲法を「駆け込み」で変えてしまおうという手法を認めることはできない。

 一方、小池百合子東京都知事に近い若狭勝衆院議員は、年内旗揚げを目指す新党の目玉政策に、国会を一院制とする改憲を掲げた。

 だが国民がいま一院制の導入を望んでいるだろうか。改憲に前向きな民進党離党組を取り込む方便として持ち出した印象すらある。

 そもそも憲法は、主権者たる国民が権力を縛るために制定するものだ。縛られる側に立つ政治家の都合で、恣意(しい)的に発議が左右されるのでは、理念にそぐわない。

 各党は「改憲ありき」ではなく現行憲法を変える必要があるか、国民がそれを望んでいるのか、根本の議論から始めねばならぬ。

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