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<新得 はばたけ農業女子 レディースファームの21年>上 仲間と寮生活、毎日充実

 のっしのっしと、体重450キロを超す牛たちが1列になって次々に姿を現す。「そーれ、ほら!」。牧場内の搾乳室で愛知県出身の新実玲奈さん(18)が、歩みの遅い牛に声をかける。

 農業の担い手確保を目的に、十勝管内新得町が1996年に開設した全国初の女性専用農業体験施設「レディースファームスクール」。研修生は原則1年間、寮生活をしながら農家の元に通い、酪農や畑作を学ぶ。女性専用としたのは当時、「体験実習の希望者に女性が多く、男性の4倍以上のニーズがあった」(町産業課)ことが背景にある。

■朝5時に搾乳

 実習の朝は早い。研修生は午前5時に搾乳を始め、午前10時までに寮に帰ってきて休憩。午後3~7時に再び搾乳などに汗を流す。

 新実さんは自分が通う高校の掲示板でスクールの存在を知り応募、第22期生として今春入校した。当初は初めての作業に筋肉痛や腰痛になったが「今はだいぶ慣れました」。ミルカーと呼ばれる筒状の搾乳機を、牛の四つの乳頭に手慣れた様子で付けていく。「ミルカーをはめる前に行う前搾りの仕方や牛の病気のことまで、何でも教えてもらえる。毎日が充実しています」と笑顔を見せた。

 研修生がスクールに入校してくる動機は「農業がしたい」「動物が好き」「北海道に住んでみたい」などさまざまだ。寮ではそれぞれ13畳の個室が割り当てられ、洗濯と部屋の掃除などは研修生自身でこなす。

 寮は市街地から離れた上佐幌地区の酪農地帯にあるため、近くのコンビニまで自転車で約40分かかる。生活環境の激変にホームシックにかかる研修生もいるが、同期生で食堂に集まって農家で体験した話で盛り上がったり、休日に買い物や道内観光に一緒に出かけたりして生活を共にしている。

■脱サラで入校

 22期生5人のうち唯一の畑作コースで最年長の谷和代さん(46)は、東京の造園会社を退職してやって来た。会社員時代に抱いていた農業のイメージは、実際の研修を通して大きく変わったという。「何かを運んだら空箱のまま帰ってこない」など、効率的な動きを徹底する農家の人たちの姿を間近で見て「会社員時代の方が、のんびりしていた」と実感する毎日だ。

 町は今年、入校の参考にしてもらおうと、オープンキャンパスを初めて導入した。7~9月の数日間、研修生の日常を無料で体験できる制度だ。静岡県から参加した高校3年の影島紗希さん(17)は「ここは寮生活なので一人じゃないし、家族的な雰囲気。もう来年の入校の仮予約を済ませました」と目を輝かせた。(新得支局の菊地信一郎が担当し、3回連載します)

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