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内部留保400兆円 賃金と投資に回さねば

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 2016年度の法人企業統計によると、企業の利益の蓄積にあたる「内部留保」が406兆円となり、初めて400兆円を超えた。

 前年度から約28兆円増え、5年続けて過去最高を更新した。第2次安倍政権が発足した12年度より33%、102兆円も増えている。

 見逃せないのは、企業が賃金と設備投資に十分お金を振り向けていないことだ。従業員給与は12年度に比べて2%しか増えていない。15年度と比べた設備投資の伸びは0・7%にとどまる。

 賃金や投資にお金を有効活用して商品・サービスを生み出すのが企業の役目だ。ため込むばかりでは経済の好循環は望めない。

 内部留保は、数の上では0・2%にすぎない大企業(資本金10億円以上)の分が48%を占めた。

 大企業は、今こそ思い切った賃上げと投資を実行してほしい。

 賃金や投資が増えないのは、08年のリーマン・ショック後の不況に懲りた企業が、手元にお金を積み上げているためだ。

 16年度の企業の現金・預金は12年度より42兆円増え、過去最高の210兆円だった。

 内需の2本柱は個人消費と設備投資だ。給料が増えなければ消費は盛り上がらない。つまり、企業がお金を積極的に使わない限り景気は良くならないということだ。

 企業は、身を縮めるほど経済が停滞し、結局は自らの首を絞めることを肝に銘じてほしい。

 内部留保がこれほどの巨額になったのは、安倍政権が法人税など企業の税負担を大幅に軽くした結果でもある。

 背景にあるのは「大企業や富裕層が潤えば、器からしずくが落ちる(トリクルダウン)ように国民全体が潤う」という考え方だ。

 しかし、国民の懐は潤うどころか寂しくなる一方だ。

 7月の名目賃金は前年同月比0・3%減と、14カ月ぶりに前年を下回った。消費税や社会保険料の負担増も重くのしかかる。消費の低迷が続くのはこのためだ。

 トリクルダウンが国全体に広がっていない以上、安倍政権は大企業優遇路線を改めねばならない。

 上場企業の利益は本年度も過去最高を更新する見込みだ。年末にかけての税制改正論議では、大企業から低所得・中堅層への所得再配分策を探るべきではないか。

 賃上げや投資を渋るなら内部留保に課税するしかない、との意見が一部にある。大企業が萎縮した姿勢のままでいる限り、こうした声はさらに強まるだろう。

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