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桐生選手9秒98 夢の大台をたたえたい

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 日本人初となる夢の9秒台の偉業をたたえたい。

 陸上男子の桐生祥秀選手(21)=東洋大=が、福井県営陸上競技場で行われた日本学生対校選手権の100メートル決勝で、9秒98の日本新記録を樹立した。

 従来の日本記録は、伊東浩司選手が1998年に出した10秒00で、「10秒の壁」の前に19年足踏みが続いていた。

 もちろん、壁を破ったのは、桐生選手の非凡な才能とたゆみない努力のたまものである。

 加えて、国内では、桐生選手のライバルとなる多くの有力スプリンターが台頭していることも見逃せない。切磋琢磨(せっさたくま)が9秒台に道を開いたとも言えよう。

 今回の快挙を突破口として、日本短距離界のさらなる底上げにつなげてもらいたい。

 9日の決勝は見事なレースだった。桐生選手は序盤やや出遅れたものの、ぐんぐん加速した。

 京都・洛南高3年の2013年に10秒01を記録し、9秒台への期待を一身に集めたが、けがなどに苦しんだ。以来4年余りの重圧は並大抵ではなかったろう。

 その間に9秒台を狙うライバルが次々に現れた。山県亮太、サニブラウン、多田修平、ケンブリッジ飛鳥、飯塚翔太の各選手らだ。

 桐生選手は今年8月の世界選手権(ロンドン)で、個人種目の代表入りを逃した。

 その屈辱もバネに変え、「一番に俺が出したい」との執念が今回の快走を生んだという。

 他の選手もしのぎを削って、後に続いてもらいたい。

 人類初の9秒台は、68年にジム・ハインズ選手(米国)が記録した9秒9だった。日本悲願の9秒台はそれから49年かかり、桐生選手は世界で126人目である。

 現在の世界記録は、ウサイン・ボルト選手(ジャマイカ)が09年に出した9秒58だ。

 桐生選手の武器は1秒で5歩に及ぶ高速ピッチで、世界歴代2位の9秒69を出したタイソン・ゲイ選手(米国)と同レベルだ。

 米国、ジャマイカを中心に9秒台の選手がひしめき合う中、桐生選手は「やっと世界のスタートラインに立てた」と前を見据える。

 今後、世界と戦うため、長所に一層磨きをかけ、9秒台を安定して出せる力を身につけてほしい。

 日本短距離界は、400メートルリレーでは、昨年のリオ五輪で銀、8月の世界選手権で銅を獲得するまでに成長した。20年の東京五輪では個人種目にも期待したい。

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