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泥沼のアフガン 対話による収拾の道を

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 トランプ米政権は新たなアフガニスタン戦略を発表し、米軍の駐留を続ける方針を決めた。

 トランプ氏は大統領選挙中、アフガンからの早期撤退を訴えていたが、治安の悪化を受けて方向転換した。現在1万1千人の駐留米兵をさらに4千人増やすという。

 アフガンへの派兵は16年前の9月11日に起きた米中枢同時テロを受け、その翌月に始まった。

 テロの実行組織アルカイダと、それをかくまったタリバン政権に対する戦争である。「テロとの戦い」の始まりだった。

 だが、いまなお出口は見えず、米国史上でベトナム戦争を超え、「最も長い戦争」となった。

 見通しのないままに増派しても、さらなる報復を呼び、テロを拡散させるだけだ。それが9・11と、これに続くアフガン、イラク戦争の教訓だったはずである。

 困難はあろうが、アフガン政府とタリバンの対話再開など武力によらない解決の道を探るべきだ。米国もそのために努力しなければならない。

 2001年12月、米軍のアフガン侵攻から2カ月でタリバン政権は崩壊し、親米政権が誕生した。ところが、タリバンやアルカイダの幹部は隣国パキスタンに逃れ、間もなく勢いを取り戻した。

 数年前から過激派組織「イスラム国」(IS)も根を張り、各地でテロを繰り返している。

 トランプ氏が新戦略を打ち出したのは、こうした事態を見過ごせないという判断である。

 実際、アフガンでテロなどに巻き込まれて死傷する民間人の数は増え続け、昨年は1万1千人以上に上った。米軍の誤爆による死者も後を絶たない。

 故郷を追われ、国内外に避難する人は470万を数える。アフガンのガニ政権が掌握するのは国土の6割にすぎない。

 一方、米側も開戦以来、2400人の兵士が死亡した。たとえ増派したとしても、この泥沼の事態を収拾できる保証はない。撤退論が出るのも、米国内の厭戦(えんせん)ムードを反映したものである。

 タリバンはアフガンから外国軍の排除を求めており、現時点で和平交渉が再開される兆しはない。

 対テロ戦争は暴力が暴力を呼び、世界各地にテロをはびこらせることになった。9・11を境に世界は大きく変わったと言える。

 武力によらない解決策こそが求められている。日本を含む国際社会もこれまで以上にこうした動きを後押ししていくべきである。

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