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10秒の壁

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人間のまばたきの速度は、0・1秒から0・2秒程度だそうだ。それと比べると、0・01秒がどれほど短いかよく分かる。そのほんのわずかな時間を縮めるため、陸上の短距離選手は日々練習を続ける▼努力を実らせ、きのう桐生祥秀選手が男子100メートルで9秒98をマークした。1998年に伊東浩司さんが10秒00を記録して以来、19年ぶりの日本新記録、陸上界悲願の9秒台突入だ▼桐生選手は高3で10秒01を記録したが、自分で「ずっとくすぶっていた」と言うように、その後は必ずしも順風満帆ではなかった。特に今季は、世界選手権で個人種目の代表を逃す屈辱も味わった▼立ち直るきっかけは父康夫さんの優しさだったという。実家に帰っても陸上の話はせず、新聞も目につかぬよう片付けてくれた。そして「頑張れよ」の一言に励まされ、世界選手権では400メートルリレー銅メダル獲得の立役者となった▼ただ、本人が「やっと世界のスタートラインに立てた」と言う通り、世界では9秒台でなければ戦えない。幸い国内にもライバルは多い。桐生選手の一歩が刺激となり、他の選手にも10秒の壁を破る可能性が広がる▼日本選手が五輪の陸上100メートルで決勝に進出したのは、1932年ロサンゼルス大会で「暁の超特急」と称された吉岡隆徳さんだけだ。2020年東京五輪は誰が日本人2人目のファイナリストになるか。期待が高まる。2017・9・10

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