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札幌国際芸術祭、集客苦戦 PR手法工夫し巻き返しへ

 札幌市内で開かれている道内最大規模の現代アートのイベント「札幌国際芸術祭」(SIAF(サイアフ))で、チケットの売れ行きや集客が伸び悩んでいる。観覧者からは多様な作品を楽しめると評価の声も多いが、道外の類似イベントとの競合や会場が多くに分かれる課題もあり、実行委は前半の集客の厳しさを認めた上で、PR強化などで巻き返しを狙う。実行委の中心、札幌市が目指す「芸術によるまちづくり」の浸透には時間がかかりそうだ。

 SIAFは8月6日に開幕し、10月1日まで。目玉は、前衛的な音楽や映像で人気の芸術家クリスチャン・マークレーさんの作品展(札幌芸術の森=南区)、SIAF芸術監督の音楽家大友良英さんらによる中古のレコードプレーヤーを使った空間展示(モエレ沼公園=東区)などだ。

 実行委は有料会場に何度も来てもらおうと、入場無制限のパスポートを導入。8月末までの販売数は、前売りが1万534枚だったが開幕後は1344枚にとどまり、実行委事務局は「このままでは目標の2万4千枚に届くのは厳しい」と語る。入場者は1日平均6千人で、前回の6642人をやや下回る。

■薄い地域性 指摘も

 全国の芸術祭を調査する東京工科大の暮沢剛巳教授(芸術論)は開幕後、2泊3日で各会場を巡った。暮沢教授は「『芸術祭ってなんだ?』と問い、『ガラクタの星座たち』というコンセプトで多様な作品を集める姿勢に一貫性がある」と評価しつつ、「札幌という地域性をあまり感じない」とも指摘した。

 2000年以降、横浜市や愛知県などが相次ぎ芸術祭を開催。10年の瀬戸内国際芸術祭(香川県など)が93万人を集めたことなどで、芸術をまちづくりと結びつける動きが広がり、最近は全国40カ所以上で開かれている。今回、SIAFの開催期間は、ヨコハマトリエンナーレ(横浜市)、リボーンアートフェスティバル(宮城県石巻市)など少なくとも全国六つの日程と重なる。競合の中で、特徴を出すことが各開催地の課題だ。

 こうした中で大友さんは、得意とする即興演奏をSIAFの運営手法に取り入れ、「市民や来場者を巻き込み、その場で芸術が生み出される他にはない特徴がある」と独自性を強調。「前半は成功したと思っている」と振り返る。

 実行委は航空各社の機内誌や飲食店などの協力でPRしてきた。それでも道外向けパスポートの販売数は8月末までで1074枚、全体の1割ほど。芸術を地域の観光や産業と結びつけるSIAFの目標を達成するには壁がある。

 交通アクセスやPR手法にも課題がある。9月上旬、廃材を使った光と音のインスタレーション(空間展示)が見られる金市舘ビル(中央区)を訪れた市内の男性(54)は「既成概念を覆す作品ばかりで面白い。でも、会場数や突発的なイベントが多く回りきれない」とこぼした。(報道センター 小林史明)

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