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里親と養子 施設から家庭へ 支援を

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 厚生労働省は、原則18歳まで一時的に子供を預かる里親や、戸籍上も養父母の実子となる特別養子縁組を大幅に増やす数値目標を打ち出した。

 全国平均17・5%と極めて低い里親への委託率を、就学前の子どもは7年以内に75%に引き上げ、就学後の子どもについても、10年以内に50%に増やす。

 特別養子縁組についても、5年以内に倍増させ、年間千組以上を成立させるという。

 親の虐待や貧困などにより、施設で暮らす子どもたちを家庭的な環境で育てる。目指す方向は妥当であり、評価したい。

 数値目標は野心的で過大な印象も否めないが、掲げた以上、政府は、受け皿となる家庭の教育環境が整うよう、きめ細かい支援態勢を築く責務がある。

 先進諸国では「施設から家庭へ」の転換が主流になっている。

 日本もようやく昨年成立した改正児童福祉法に、家庭的な養育が原則と明記された。

 子どもの発達には、特定の大人との愛着関係を築くことが重要だ。施設では複数の職員が担当したり、異動で入れ替わったりして、親密な関係を醸成しにくい。

 安定した家庭的環境として、里親や特別養子縁組の役割はますます高まっていると言えよう。

 ところが、受け皿の数が絶対的に不足している。

 児童養護施設や乳児院などで暮らす子どもは約3万8千人いるが、現状では里親登録数は全国で1万世帯にとどまる。いかに増やすかが大きな課題だ。

 里親や養子縁組を成功させるためには、丁寧なプロセスが求められる。子どもの人生を左右するだけに、その個性や受け入れ家庭との相性を考慮して、慎重に組み合わせなければならない。

 こうした役割を担う児童相談所は、過去最悪の勢いで増え続ける児童虐待の対応に追われている。専門職員の確保など人員の拡充が急務だ。

 受け入れ家庭が決まった後のフォローも欠かせない。

 心身に傷を負った子どもが、新しい暮らしに慣れるまでには時間がかかる。なじめず施設に戻る子どもも少なくない。

 受け入れ家庭と子どもの双方が相談できる支援態勢を官民でつくり上げるべきだ。

 政府や自治体は財源確保に努めるとともに、地域社会全体で受け入れ家庭を孤立させぬように見守る必要がある。

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