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北朝鮮の核実験 廃絶の願い裏切る暴挙だ

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 断じて許すことのできない暴挙である。

 北朝鮮がきのう、核実験を行った。昨年9月に続き、これで6回目の強行となった。

 北朝鮮の核兵器研究所は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載可能な水爆の爆発実験に成功した、と発表した。水爆かどうかは検証が必要だが、爆発の規模は過去最大級という。

 北朝鮮は先月末、北海道上空を通過する弾道ミサイルを発射し、国連安全保障理事会が厳しく非難する議長声明を全会一致で採択したばかりだ。

 それを無視する行動である。

 今年7月には国連で、加盟国の3分の2の賛成により核兵器禁止条約が採択された。

 日本は残念ながら署名しない方針だが、核廃絶の思いは広島、長崎の被爆者から全世界へと広がりつつある。

 それに背を向けた今回の核実験は、そうした情勢を顧みない愚行としか言いようがない。
軍事的緊張を避けよ

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は核の脅威を高めることで、米国をはじめ国際社会に「核保有国」であることを認めさせ、体制の維持を図る狙いがあるのだろう。

 だが、それは明らかな誤りである。核実験を挑発の材料に使うという常軌を逸した行動が認められるわけがない。

 今度こそ、北朝鮮と結びつきの強い中国、ロシアを含めた関係国が確実に経済制裁を履行し、挑発をやめさせる必要がある。

 これまで以上に気がかりなのは、今回の核実験がトランプ政権発足後初めてということだ。

 北朝鮮の「ICBMに搭載可能」との発表には、米国本土を射程に入れていることを強調し、米国の出方を見る狙いがうかがえる。

 しかし、トランプ大統領は一時、空母を朝鮮半島周辺に派遣するなど軍事的緊張を高め、核攻撃をほのめかす発言すらしていた。今回も「敵対的で危険だ」と強く反応している。

 双方が軍事的な緊張を高めるばかりでは、偶発的な衝突を招きかねない。

 それは体制維持を目標とする北朝鮮も望んではいないはずである。脅威をあおる瀬戸際外交が通用しないことを知るべきだ。

 危険な挑発を即刻やめなければならない。
連携の抜け穴ふさげ

 国連安保理は、北朝鮮が2006年に最初の核実験を行った後、初めて経済制裁を科した。

 その後も北朝鮮は核実験とミサイル発射を繰り返し、安保理は兵器の取引禁止などの制裁決議を重ねてきた。最近も石炭、鉄鉱石などの全面禁輸を決めたばかりだ。

 だが、これまで中国とロシアが「抜け穴」となり、実効性が上がらなかったのが実態だ。核・ミサイル開発はその間も着々と進められてきた。

 中ロ両国は北朝鮮を巡り米国と駆け引きしているきらいもある。しかし、もはやそうした段階ではない。どのように朝鮮半島を非核化するのか、北朝鮮をどう説得するか、真剣に考える必要がある。

 中国は、在韓米軍への高高度防衛ミサイル(THAAD)導入を巡り、自国の動きも監視されるとして反発しているが、そうした問題を乗り越え、米中が連携していかなければならない。
実効ある外交努力を

 安倍晋三首相は声明を発表し、北朝鮮の核実験を「断じて容認できない」と非難した。

 首相は先月末以降、トランプ氏と電話で複数回会談し、北朝鮮への圧力強化を確認している。

 日米両政府は北朝鮮への新たな制裁措置として、国連安保理で石油禁輸の採択を目指す。

 北朝鮮への対応で、日米連携や圧力が必要なのは確かだ。

 だが、軍事力でこの問題を解決することはありえないし、あってはならない。圧力は交渉に導くための手段であり、必要なのは外交を前に進める行動である。

 ところが、首相の口からはいつも、北朝鮮に対する非難と圧力強化を唱える一本調子な物言いしか聞こえてこない。

 首相は今週、ロシアのプーチン大統領とウラジオストクで会談する。米ロの関係改善が見通せない現状で日本が果たす役割もあるはずだが、過去の度重なる会談で具体的成果は上がっていない。

 突っ込んだ意見交換を行い、ロシアの関与を引き出してほしい。

 ウラジオでは韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領との会談も検討されている。

 中国は秋に共産党大会を控え、国内外の情勢安定を最重視している。今月、国交回復45周年を迎える中国との間でも首脳間の対話を活発化させることが急務である。

 日本は対話再開へ積極的役割を果たすべきだ。

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