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医師の過労死 働き過ぎ解消は急務だ
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 人の命を救う医師が過重労働で疲弊し、自殺に追い込まれるケースも後を絶たない。

 東京都内の総合病院の産婦人科で働く30代の男性研修医が2015年7月に自殺したのは、長時間労働で精神疾患を発症したのが原因として労災認定された。

 遺族の代理人弁護士によると、自殺直前の1カ月の残業は約173時間に上り、厚生労働省の過労死ライン(直前1カ月100時間)を大幅に上回っていたという。

 医師の過労自殺では、今年5月にも、新潟市民病院(新潟市)に勤務していた30代の女性研修医が労災認定されている。

 もはや看過できない事態である。重い使命を担うとはいえ、医師も生身の人間だ。

 政府は、一刻も早く医師の長時間労働の解消策を打ち出さなければならない。

 男性研修医は自殺する前の半年間、月に143~208時間の残業を行い、休日はわずか5日間だった。当直明けが日勤の場合、拘束時間は30時間を超えていた。

 休日の呼び出しも多く、抑うつ症状があったという。すさまじい労働実態と言うほかない。

 医師の長時間労働は常態化している。厚労省によると、週60時間以上働く医師は41・8%に上り、職業別で最多だ。

 休日は月平均5・3日だけで、ゼロも11・4%いた。自殺(未遂含む)など労災認定は、16年までの5年間で21件に上る。

 医療過誤の原因として、慢性疲労を挙げた医師が7割を超えたという調査報告もあり、長時間労働の放置は、医療の質を低下させる恐れがある。

 政府が進める「働き方改革」には問題が多い。そもそも医師は残業時間の上限規制の例外として、5年の猶予期間が設けられた。

 医師には正当な理由なく診療を拒めぬ「応召義務」があるとしても、これでは何も変わらない。

 長時間労働の是正には、医師不足や偏在の解消も不可欠だ。

 人口比で見ると、日本の医師数は経済協力開発機構(OECD)加盟29カ国中26位で、1位のオーストリアの半分以下である。

 病院運営者は、医師も労働者との視点で、労働環境を再チェックしてもらいたい。交代勤務制への転換や、事務の役割分担などさまざまな工夫をすべきだろう。

 患者の側も、かかりつけ医などを活用し、時間外にむやみに駆け込む「コンビニ受診」は控えたい。意識改革が求められる。

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