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旭医大「地域枠」 定員減の再考求めたい
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 旭川医大が来年度から、医師不足克服の対策として期待される「地域枠医師」制度の定員を、各年度17人から5人減の12人とする方針を打ち出した。

 旭医大は「将来の医師の供給過剰」などを理由に挙げている。

 しかし、道が2008年度に導入した制度は、ようやく効果が表れ始めた段階である。

 医師が都市に集中する地域偏在は依然解消されず、地方では診療体制の縮小を余儀なくされる医療機関も後を絶たない。

 制度の検証さえ待たず、定員減に踏み切るのは、性急すぎるのではないか。

 医師不足の自治体に反発や困惑が広がるのも無理はない。

 旭医大は、北海道の医療を支える大学という道民の期待に応え、定員減を再考してもらいたい。

 「地域枠」は卒業後9年間のうち5年間、医師の確保が難しい地域の公的医療機関で働けば、学費や生活費を支給する奨学制度だ。

 道が年間3億7千万円の予算を計上し、札幌医大と旭医大が枠を設けている。

 旭医大の減員方針を受け、高橋はるみ知事は札医大に定員増を求めると同時に、北大に制度への参加を働きかける考えを示した。

 旭医大によると、今後20年で同大から道内に1200人の医師が供給されるという。これが医師余りの見立ての根拠になっている。

 問題は、医師数の単純な増加が、医師の地域間格差の是正につながるとは限らない点だ。

 道内の人口10万人当たりの医師数(14年末)は2次医療圏(入院治療に対応)で見ると、旭川を含む上川中部(321人)と札幌(281人)に集中する。

 他の19地域は全国平均(234人)を下回り、宗谷(95人)は上川中部の3分の1以下にすぎない。こうした地域では、診療所の閉鎖など、医師の不足が深刻な問題をもたらしている。

 このため、地域医療の専門家からは「地域枠」の拡大を求める声さえ上がっているほどだ。

 昨年から、「地域枠」で学んだ若い医師がようやく現場で働き始めた。「地域枠」は緒に就いたばかりと言える。

 住民が望むのは、人口が少なく、基幹病院まで遠い地域でも医師がいるという安心感である。

 「地域・僻地(へきち)住民の医療や福祉を理解し、十分貢献しうる意欲と能力を獲得する」のが、旭医大が掲げる教育目標のはずだ。これを思い起こしてほしい。

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