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核のごみ処分地 押し付けてはならない
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 政府は原発由来の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向け、適地を地図に示した科学的特性マップを公表した。

 火山や活断層の周辺を除く適地の中から、受け入れ自治体を絞り込みたい考えだ。

 しかし、地震多発国の日本にそもそも安全な適地があるのか。懐疑的な専門家も少なくない。

 処分地を自治体に押し付けるようなことがあってはならない。

 最終処分は原発の使用済み核燃料の再処理を柱とする核燃料サイクルを前提としているが、サイクル自体が事実上、破綻している。

 現行の原子力政策を根本的に見直す国民的議論が欠かせない。

 最終処分は、原発の使用済み核燃料を再処理する際に出る放射性廃液をガラスで固めて地下300メートルより深い地層に埋める方法だ。

 マップは火山周辺15キロなどの「好ましくない地域」と、それ以外の適地を色分けした。適地は国土の7割弱、海上輸送で核のごみを搬入しやすい海岸から約20キロ以内の最適地は3割となった。

 道内の最適地は陸地の3割で、80以上の市町村が対象となる。

 核のごみ問題の解決は現世代の責任だとしても、最終処分には、あまりにも疑問が多い。

 複数の巨大なプレート上にある日本列島は、地震が多発し火山も多い。10万年も先まで絶対に安全と言える場所があるのか。こうした当然の疑念に国が十分に答えてきたとは言い難い。

 核燃料サイクルの要となる再処理施設は稼働のめどさえ立たず、再処理してつくる燃料を燃やす高速増殖原型炉もんじゅも廃炉が決まった。八方ふさがりの状況だ。

 そんな中、核のごみ問題に対処する際、参考になるのは日本学術会議が示した見解である。

 同会議は5年前、地層処分について「現時点の科学的知見の限界」を指摘した。一昨年には、国民の合意形成や適地選定のため、地上で核のごみを50年間、暫定的に保管するよう提案した。

 東京電力福島第1原発の事故が起きて以来、国民は原子力政策に不信感を募らせている。現状のままで処分地選定を進めても、理解は得られまい。

 政府は、調査を受け入れる自治体に交付金を出す方針である。過疎化や財政難に悩む自治体をカネで釣るような手法は慎むべきだ。

 北海道には、核のごみを「受け入れ難い」とする条例がある。政府は、地方から注がれる視線の厳しさを忘れてはならない。

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