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卓上四季

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レンブラントの和紙

国王夫妻が来日中のオランダには日本人になじみの画家が多い。17世紀に活躍したレンブラントもその1人。光と闇に浮かぶ人物群が印象的な油彩画「夜警」が代表作だが、銅版画にも定評があり、日本の和紙を使っていたそうだ▼洋紙に比べ破れにくく、腐敗しづらい。インクを吸い込みやすく、質感にも富む。微妙な色合いを末永く残すには、和紙が最適なのだろう。江戸の昔に日本の工芸技術が西洋の大家の画業を支えていたのには驚くほかない▼国内三つの産地の和紙が、ユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなった。国際的な評価を考えれば当然だ。昨年は和食も選ばれている。むしろ、遅かったと言えるかもしれない▼かつてIT技術の進歩でペーパーレスの時代になると言われた。しかし、ちまたには依然、コピーをはじめ大量の紙があふれている。洋紙が大量生産、大量消費の象徴なら、和紙がどこか奥ゆかしい雰囲気を持つのはなぜか▼障子や紙鍋、電灯のかさ、ついたて…。和紙を使うと通気性や保温性を保ち、光や人の影を和らげる。日本の風土に合っているのだろう▼無形遺産は「物」ではなく「腕」が対象だ。今回、技術を受け継ぐ組織がなくて選ばれなかった産地もある。水が冷たさを増し、紙をこす職人にとっては、つらい季節になった。身の回りで使ってこそ、苦労に報い、伝統を守ることにもなるはずだ。2014・10・31

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