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卓上四季

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大戦百年

オーストリアの作家シュテファン・ツバイク(1881〜1942年)は100年前、ベルギー滞在中にドイツ軍侵入に遭った。<幾千の人々がホテルを去り、列車は満員…>。回想「昨日の世界」で混乱を描写している▼14年に開戦した第1次世界大戦は、サラエボでのオーストリア皇太子暗殺という発端が有名だが、その後の1カ月間、欧州各国は戦争回避にも動いた。しかし、7月28日にオーストリアがセルビアに宣戦を布告して、戦端が開かれる▼オーストリアの同盟国ドイツは、新興勢力として戦争に備えていた。直ちにロシアとフランスに宣戦を布告、ベルギーに侵入する。これを見てイギリスが参戦、戦火は急速に広がる▼不思議な大戦だった。開戦自体に切羽詰まった理由はなく、開戦後も短期・限定的との楽観論が支配的だった。突っ走った国にも巻き込まれた国にも、戦いを収める力量のある指導者がいなかった。日本は8月23日に対独参戦に踏み切った▼ツバイクは侵入後のベルギー市民について<まだ依然として戦争を…信じることができなかった。それはこのような狂気を信じたくなかったからである>と書いた。市民はそうだったろう▼指導者にその態度は許されない。後世、厳しい評価を受ける。大戦前に似ているとも言われる今、指導者の責任は一層重い。この後に世界を襲う「第2次」の悲劇も見ているのだから。2014・7・28

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