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卓上四季

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五里霧中

いまなら約2キロ先に相当するというから、かなりの距離だ。古代中国・後漢の人、張楷(ちょうかい)は道術にすぐれ、「五里」の間をまったく視界不良にする「五里霧(ごりむ)」を生み出すことができたそうだ▼見通しも方針も立たず、何が何だか分からない状態を表す「五里霧中」はここからきた。ちなみに、おとといの当欄で、「『一衣帯水』は『イチ・イタイスイ』と読むべし」という中国文学者駒田信二説を紹介した▼その伝に従うと「五里霧中」は「ゴリム・チュウ」と読むのが正しいそう。「ゴリ・ムチュウ」と読み慣れているのは、「無我夢中」との混同とか▼はてさて現代にも妖術使いが潜んでいるのか。見まわせば、四囲(しい)は「霧」ばかり。本人の「あります!」宣言を、上司が「仮説」とぼやかす「STAP霧」。露の国が忍び寄る「ウクライナ霧」。「聖域」かすむ「TPP霧」。お金を雲散霧消させた「ビットコイン霧」…▼知る権利を墨塗りする「秘密法霧」も黒々と迫る。責任を曖昧模糊(もこ)にしたまま、惨事を恐れず再稼働を急ぐ「安全神話霧」、お門違いの最高裁判例を持ち出して、国民をけむに巻こうとたくらむ「解釈改憲霧」も漂っている。まる見えだったのは、ネット上の空港図面くらいか▼<しのび会う恋>をつつむ夜霧は感謝もされようが、実相を覆い隠す霧は何ともうっとうしい。深い霧をすっきり払ってくれまいか、「凱風(がいふう)」よ。2014・4・18

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