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卓上四季

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悪魔は細部に宿る

「悪魔は細部に宿る」と言う。金融筋や外交筋でよく使われる言葉だ。4年前の欧州金融危機で、新興国や民間からの投資が話題になった際、EUの大統領はこの言葉でくぎを刺した。具体的な返済計画次第では、毒にもなり得るからだ。細部に宿るのは神だけではないらしい▼会社の会議などで、「木を見て森を見ない」との声がよく飛び交う。例えば、個々の店の売り上げばかりに目が行って、全体の傾向がつかめない時だ。鳥の目になって見渡す視点は欠かせないが、かといって細部を無視すればどうなるか▼安倍晋三首相は戦後70年の首相談話について、「植民地支配」や「侵略」など、過去の談話の文言にこだわらない姿勢を示した。NHKの番組でも、「(文言を使う、使わないの)こまごました議論になる」と述べていた▼かつて日中戦争に関する教科書の記述をめぐり、中国も巻き込んで議論になったことがある。日本の行為は侵略か侵攻か、あるいは進出なのか。当事者からすれば、それぐらい微妙な問題である▼解放から70年を迎えたアウシュビッツ強制収容所でも、いまだにさまざまな論争が続く。「強制収容所はドイツの発明じゃない」として、ユダヤ人迫害をうやむやにする声もある▼「アリの一穴」ではないが、「こまごましている」という理由で見過ごせば全体が崩れる恐れがある。細部から目をそらしたら毒が回る。2015・1・30

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