検証 夕張再建1年
<1>誤算 負担増で働き手流出 (2008/03/04)
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夕張市が昨年三月六日、財政再建団体に移行してから一年を迎える。「全国最低の行政サービス、最高の住民負担」で三百五十三億円もの巨額赤字解消に乗り出してから、住民生活はどう変わったのか。財政難に悩む他市町村への影響は。それぞれの現場から報告する。
「いっそ生活保護を受けようか」。夕張市末広の無職阿部義夫さん(81)、キミさん(77)夫婦は最近、そう話し合う。収入は月十二万円の年金のみ。義夫さんは十年前に脳こうそくを患い、キミさんは白内障で、医療費などに月額二万円かかる。さらに財政破たんに伴う負担増がのしかかる。 通院や買い物に欠かせないバスの料金は本年度、敬老パスの自己負担上限が百円増の三百円になった。ごみ回収は一枚(四十リットル)八十円の袋が必要になり、市民税や水道料も合計で月千数百円増えた。除雪車の出動基準は降雪一〇センチから同一五センチになり、除雪を有償で人に頼むこともある。キミさんは「全部合わせたら、わたしらにゃ重い」。義夫さんは「年寄りはみな、行くとこもなくて夕張に残ってる」と話す。 推計の2倍 夕張市は財政破たんした二○○六年夏以降の一年半で人口が千人も減り、一万二千人割れ寸前だ。千人当たりの生活保護受給者数を示す保護率は破たん直後の24から27に悪化。高齢化率(人口に占める六十五歳以上の比率)も2ポイント急上昇し42・3%。働き盛りが市外に去り、経済弱者や高齢者が取り残される構図だ。 財政再建計画は、破たん表面化から半年余りで急ごしらえされた。その基礎になった国立社会保障・人口問題研究所(東京)の推計は、計画終了時の夕張市人口を約七千三百人と見込んだが、働き手の流出加速を一切考慮していない。 実際は推計の二倍のペースで人口が減り始め、計画初年度から誤算が生じている。人口などを基に自治体に配分される普通交付税は約一億五千万円、市税も約八千万円、それぞれ不足する見通し。国民健康保険事業会計も、前年度末に約三千三百八十七万円あった累積赤字額が、本年度末には約一億円に膨らむ。 厳しい雇用 一方で雇用を支える地元経済は厳しい。夕張商工会議所の小網敏男専務は「破たん前より売り上げ半減はざら。七割減の会員もいる」と話す。会員数は六十近く減り、二百六十を割りそうだ。 特に土木建設業は深刻だ。市の本年度予算は、一般会計の土木費が約五億四千万円と前年度比35%の大幅減。前年度予算にあった住宅管理事業会計(約九億五千万円)や住宅造成事業会計(約三億円)は全廃された。 建設会社社員の男性(27)は、月給が一万数千円減の約二十二万円になった。妻は三人の子育て中。「故郷の夕張に住み続けたいが、給料がもっと下がったら出ていくしかない」と嘆く。 二十二社加盟の夕張建設業協会では、千人を超えていた建設業従事者が六百人に激減した。同協会の石川達人会長は訴える。「緊縮財政が働き手流出を招き、市の財政を圧迫する悪循環。十八年間で三百五十三億円を返す計画が実現できると思う市民は、もはや一人もいないと思いますよ」 (夕張支局 太田一郎) |



