よみがえれ観光の街 夕張リゾートの挑戦
<上> 再生請負人 節減しながら士気高揚 (2007/07/25)
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「滑り出しは上々。これなら行ける」。財政破たんした夕張市所有の十三観光施設を、四月から受託運営している「夕張リゾート」の西田吏利(つかとし)社長(57)は最近、収支報告を見て拳を握った。当初計画は、夏休みと冬のスキー場で利益を上げ、閑散期は赤字を極力抑えて年間で黒字を達成する内容だ。四−六月の収支は既に計画を約10%上回っていた。
役人気質 客足は伸びていない。中核施設「石炭の歴史村」は、隣の遊園地が閉鎖されている影響などから、昨年約五万人だったゴールデンウイーク(GW)入場者数が今年約一万人に激減。徐々に回復しているが、依然厳しい。 それでも収支が改善したのは、「経費23%削減」としていた計画をも上回る節減の効果だ。親会社・加森観光(札幌)の指示で、トマムリゾート(上川管内占冠村)など十カ所近い施設を立て直した「再生請負人」の西田社長でさえ、「これほど削れるとは」と驚く。 「市の第三セクターによる従来の施設運営は、まさに無駄の塊でした」。市の委託で映画祭イベントなどに携わり、夕張リゾートに移ったホテル部総支配人の村上時夫さん(58)も、破産した三セク「石炭の歴史村観光」「夕張観光開発」の経営をそう振り返る。 GWや夏休みに多額の経費で開いていたキャラクターショーは観覧無料で、毎回約一万人を集める人気ながら直接収入にならなかった。ホテルでは採算ライン一人五千円の宴会を、集客のため約三千円で受けていた。施設清掃は割高な外部委託。管理もずさんを極め、市所有のレストランなど二カ所の調理場設備が、市側の知らないうちに丸ごと売り払われていた。 三セクから移籍した社員の意識も当初は甘かった。「電気の節約を命じると仕事中でも事務所の電気を消すが、無人の倉庫はついていた」「仕事の経過報告がないので『終わったのか』と聞くと何もやっていない」。西田社長の指摘は厳しい。 幹部の“役人体質”はもっと深刻だった。三セクの元社員は「市から来た職員やOBが不要な道路を造るなど金をばらまいた。任期は一、二年足らずで、経営課題を全然引き継がない。素人考えで『会社ごっこ』をしていた」と痛烈だ。 意識改革 西田社長は「立て直しには、基本を重ねるしかない」と考えた。無駄な取引を精査し、清掃を自前に変え、大型キャラクターショーもやめた。営業担当者をホテル客室係にするなど大胆な配置転換で意識改革を迫る一方、接客からテーブルクロスの敷き方まで細かな指示を重ねる。 今は「社員に『こうしないと雷が落ちる』と理解してもらった」と手応えを感じる。社員からも「幹部の意思決定が早くなった」「各部が助け合うようになった」などの声が上がる。 半面「担当外の草刈りやそうじも加わり、忙しい」「三セク時代より手取りが三、四割下がった」などの不満もある。 無駄を省きつつ、やりがいと士気をどう高めるか。夕張観光復活の成否を分けるこの夏、再生請負人の真価が試される。 ◇ ポスト石炭の基幹産業として、夕張市が過大投資を続けた観光施設が、財政破たんで民間の夕張リゾートに引き継がれ、最初の夏休みを迎えた。観光事業復活は、街の再生そのものに直結する課題。同社の苦闘と今後の展望を追う。(夕張支局の太田一郎、報道本部の古田佳之、岩見沢総局の田島工幸が担当しました) |
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