北海道と温暖化 北海道洞爺湖サミット2008
<1>異変 酪農、観光に「恩恵」 (2008/03/07)
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「広大な牧草地を生かし、真の酪農王国として復活するチャンスだ」。二月下旬、雪解けを待つ根室管内別海町の雪印種苗別海営業所で、浅沼康之所長は力を込めた。
復活の決め手は、タンパク質など栄養価が高く、世界の酪農地帯で最も使われている牧草「アルファルファ」だ。 あのタネいける 根室地方は数年に一度、大寒波に襲われるため、育てるのは難しいとされてきた。しかし、近年は最低気温が氷点下二〇度を下回る機会もめっきり減り同営業所で栽培の可能性を探った。 朗報が最初にもたらされたのは三年前の春。 「あのタネ、いけるんでねーか」。試験栽培を依頼していた根室市内の酪農家から連絡が入った。早速、牧草地に駆けつけると、アルファルファが青々と芽吹いていた。 これを受け、根室地方では昨秋、本格栽培が始まり、この春には、その成果が確認される。 アルファルファが普及すれば、牛の乳量アップが期待できる。輸入飼料に過度に依存しなくて済み、道東の酪農の生産性は格段に向上する。 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「地球の平均気温が一−三度上昇すると、中・高緯度の地域では、生産性が向上する農作物がある」(第四次評価報告書)という予測を裏付けた格好だ。 スキー客10%増 ところ変わって後志管内のニセコ地区のスキー場。ゲレンデに英語や中国語が飛び交い、レストランではオーストラリア人家族がワイングラスを傾ける。この冬も雪に恵まれ、外国人に人気の倶知安町ひらふ地区は、入り込み客数が前年の五十万人から10%増のペースで推移。外国人比率は三割を突破する勢いで、欧州のスキー場が雪不足から、客離れを起こしているのと対照的だ。 実際、国連環境計画(UNEP)は二○○四年の報告書で「地球温暖化の結果、標高の低いスキー場の多くは、経済的困難、さらには破たんの危機に直面している」と警告。時同じくして欧州環境庁が「アルプスの氷河は二○五○年までに四分の三が解けて消滅する」との予測を発表した。 スイスの主な銀行が、標高一五〇〇メートル以下のスキー場への融資を停止するなど、欧州のスキー産業は大きな打撃を受けた。 対するニセコは、札幌管区気象台が「温暖化による雪不足の心配は当面ないだろう」と太鼓判を押す。毎日二万人以上がアクセスする英語サイト「スノージャパン・コム」には「世界最高のパウダースノー」といった賛辞が寄せられ、サイトを運営するアンドリュー・リー氏は「北海道の魅力は世界に広まり、今後は欧米の富裕層の客も急増する」と予想する。 海外投資家の関心もニセコに集まり、昨年の基準地価上昇率は二年連続で全国一を記録。豪州資本が〇四年に二億円で買収したひらふ地区隣接の「花園スキー場」は、三年後に十倍以上の価格で香港資本に転売された。 こうした現象について、リゾート経営専門コンサルタントの古旗邦夫さんは「世界のスキー産業を取り巻く環境は激変しており、驚くことではない」と言い切る。中国や旧東欧諸国などでスキー人口が急増する一方、欧州では良質の雪を提供できなくなり、スキー場の数がどんどん減少しているからだ。 国内に目を向けても、北陸や関西を中心に雪不足で営業をやめるスキー場が続出。「将来、生き残れるスキー場は北海道や長野県を中心に国内の三割程度」(古旗さん)という予測さえある。 寒さの厳しい北海道にとって、温暖化は一時的にせよ、好結果をもたらす側面もある。太平洋側の胆振管内では年末年始も営業するゴルフ場が出現。「全国の気温が約三度上昇すると、コメの潜在的収量は北海道で13%増加する」という農林水産省の予測もある。だが、地球規模の不気味な変動は、そんな楽観的な見方をかき消す。温暖化が主要テーマとなる北海道洞爺湖サミットを前に、道内各地から寄せられた気になる温暖化現象について報告する。 |





