どうしんウェブ 北海道新聞

  • PR

  • PR

どうなる水産王国 200カイリ30年

<4>再生への道 「安全・安心」売り込め (2007/11/17)

オオマイ、カレイ、キンキなど釧路市の和商市場に並ぶ地元産の魚。「安全・安心」をどう消費者にアピールするか

 「まあ、去年並みかな」。今月上旬の釧路副港。水揚げしたシシャモを選別しながら、第8大果丸(七.八トン)の船主兼船長、門脇好文さん(52)が笑顔を見せた。

 エリモ以東海域の昨年のシシャモ漁獲量は千二百三トン。各地で前浜資源の減少が問題となる中で、二○○二年以降、千トン台を維持している。釧路市漁協でも、二十日ほどの操業で昨年は一隻平均五百万−六百万円を水揚げした。

資源管理徹底

 好調な水揚げを支えるのが、徹底した資源管理だ。道立釧路水試が推定した来遊量をもとに漁獲割当量を決め、それを十勝、釧路の両管内で折半し、各漁協に振り分ける。

 シシャモは十勝沖から釧路沖へ回遊する。

 釧路「先取りするな」

 十勝「許可もある。来たものをとって何が悪い」…

 とかく対立する漁業者の間に、道や水試が入り、六年越しの徹底した話し合いの末、昨年、ようやくルールが定着した。

 マイワシやマサバなど回遊魚種の漁獲可能量(TAC)による資源管理は軌道に乗らないが、シシャモや毛ガニ、ホッキなど前浜資源については、各地で操業短縮や漁具規制、禁漁、割当量設定などの努力と工夫が重ねられ、一部で成果を上げてきた。

 では、捕った魚をいかに高く売るか。

 道漁連は○三年の暴落を機に、秋サケの欧米、中国向け輸出を本格化させ、昨年は総生産量の約半分、八万トンが輸出に回った。これが下支えとなって、平均単価は一キロ三百三十二円と○三年の二倍。水揚げ量の減少にもかかわらず、金額は三年連続で上昇した。

ブランド好調

 高い品質や生産履歴などを武器に差別化を図る「ブランド化」の動きも目に付く。東京・築地の水産卸「中央魚類」は、噴火湾産のボイルふじこ(ナマコの一種)や釧路管内厚岸産の黒頭カレイなど、全国から厳選した四十九品目を「お宝ブランド」と名付け、販売に力を入れている。担当の平塚洋さん(51)は「売り上げは倍々で伸びている」という。

 一般に輸入・養殖ものの魚介類は、国産・天然ものよりダイオキシン類濃度が高い。水産庁の調査(一九九九−二○○三年度)によれば、クロマグロで五七.五倍、サケ二八.六倍。一方、北海道の魚は、輸入を含む魚介類全体の平均値の半分以下という。

 これらの結果を踏まえ、小松正之・水産総合研究センター理事は言う。「日本、特に北海道の魚は欧米に比べダイオキシンが格段に少なく、人気が高い。きれいな天然の秋サケが欧米へ行き、ダイオキシンが多い養殖サーモンが日本へ入ってくるのは時代に逆行している。北海道はもっと安全・安心を前面に出して売り込むべきだ」

 世界的な魚食ブームに伴う水産物輸入の減少は、日本の消費者に国産、道産をアピールするチャンスでもある。

 道漁連は「消費者の安全・安心、国産志向は高まっている」(宮村正夫副会長)と、昨年から新しい加工品の開発など国内マーケット対策にも力を入れ始めた。

 転機に立つ水産王国ニッポン、そして北海道。再生への取り組みも始動している。(おわり)

このページの先頭へ