どうなる水産王国 200カイリ30年
<2>資源管理 守られぬ漁獲可能量 (2007/11/13)
「こんな信義にもとることをやっていいのか」
水産庁が十二日、サンマ漁業者団体の全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま、東京)の要望を受けて、今年のサンマの漁獲可能量(TAC)を大幅に追加したことに対して、道東の水産加工業者が怒りの声を上げている。 「詐欺も同然」 追加により、全さんまに与えられたTACは当初枠の約一・五倍の三十万トンに拡大。積み増した在庫品が値下がりする恐れもある。「先に高いサンマを買わせて、あとで追加するとは詐欺も同然だ」と加工業者は反発する。 TAC制度は一九九六年の国連海洋法条約の発効に伴い、翌九七年にスタートした。水産庁によると「漁獲量を管理することにより再生産可能な資源状態を保ち、未来の漁業を守る」のが目的だ。 TACとは別に、水産総合研究センターが科学的データを基に推計した生物学的許容漁獲量(ABC)というのがある。今年のサンマの場合は四三.九万トン。資源を継続的に利用できる目安とされるもので、預金に例えると、利息を利用し元本を減らさない水準。水産庁は追加後もTAC総量はABCを下回っているので問題はない、とする。逆にいえば、サンマの場合は需給状況を考慮して、あえてかなり低く設定していたというわけだ。 一方で、TAC対象の七魚種のうち、サンマとスルメイカを除く五魚種で、TACがABCを上回っている実態もある。その比率(当初設定比)は、スケソウダラの一.九倍を筆頭に、マアジとマイワシ一.四倍、サバ類一.五倍、ズワイガニ一.一倍。 科学的にはじき出された許容量を上回る漁獲を、国が認める不可思議。当然、「乱獲を公認している」との批判があるが、水産庁は「TACをABCに沿って激減させると、漁業者は操業できず、倒産する。すると、水産物の安定供給が困難になる」(資源管理推進室)という。 サバ10%超過 しかも、そのTACすら守られていない。サバ類は二○○六年漁期(○六年七月−○七年六月)で、大中型巻き網漁船の漁獲量がTACを10%、六.三万トン上回った。水産庁は昨年暮れ、「漁獲抑制を」と業界を指導したが守られなかった。罰則の対象外ということもあって、業界は「資源の過小評価に基づいてTACが設定されたため」(全国巻き網漁業協会)と、意に介するふうもない。 こういった状況について、北大大学院の広吉勝治教授(水産経済)は「TACはもともと中国、韓国漁船を日本水域から締め出すため、両国がとっていた魚種などを対象に政治的に設定された。資源管理はTACだけに頼らず、従来の漁船規模、漁期、漁具の制限などで上手にやっていくしかない」と指摘する。 資源管理の決め手を欠く中、水産白書によると、日本周辺の水産物資源は、マサバ、スケソウダラなど四十八魚種・系群が低位にある。 |



