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札幌へ 北海道新幹線

<3>独自の研究開発 人と物流 高速化に活路 (2008/12/20)

JR北海道が開発したトレイン・オン・トレインの実物大模型。新幹線効果を最大限発揮させる新技術として注目されている

 北海道新幹線の札幌延伸が事実上確定し、JR北海道の技術者たちは静かに闘志を燃やす。二〇一五年度の新函館−新青森間開業も迫り、独自の車両開発などを急いでいる。

 独自に研究を進めるのが貨物専用新幹線「トレイン・オン・トレイン」。将来的に時速三百キロ超で走る新幹線の効果を生かすには、一時間三便程度の運行が必要とされるが、待機場所のない青函トンネルでは時速百キロ程度の貨物列車との速度差が障壁となり、同一便程度に抑えられる。

 この解決策がトレイン・オン・トレインの導入だ。貨物列車を丸ごと積んで時速約二百キロで走行させることで、旅客を乗せた新幹線は同三便運行が見込める。青函トンネルの課題を克服でき、経済界は「将来的に農水産物の輸送量向上にも貢献する」と評価する。

 JR北海道は昨春、苗穂工場で実物大模型を完成させ、実際に貨物列車を載せる検証を終えた。次は試験車両を製作して走行試験に乗り出したい考えだ。

 独自の研究開発に取り組むのは、新幹線による輸送能力向上にかける期待の表れともいえる。二〇〇四年三月に鹿児島中央−新八代間が開業したJR九州では、時間短縮効果で域内の新幹線利用者が当初予想を大幅に上回った。

 道経連も札幌−東京間が四時間弱で結ばれた場合、航空機からの転換などで、北海道と関東以北を結ぶ鉄道利用者は〇三年の百四十万人から千百万人に急増すると試算。JR北海道新幹線計画室の菅野光洋室長は「新幹線開業で経営体質を強化できる」と話す。

 道内の流入人口の増加も予想され、観光振興などで人口減に直面する北海道経済の活性化にもつながりうる。

 外国人スキー客らが訪れる後志管内倶知安町で、官民挙げて観光振興に取り組むニセコ倶知安リゾート協議会の久野賢策業務執行理事は「新幹線に乗ること自体がイベントになり、リゾート地としての魅力が増す」という。同町内では、首都圏と新幹線で結ばれれば避暑地になるとする夢も膨らんでいる。

 一方、長万部−札幌間はスーパー特急方式で整備されるとする案もある。在来線と同じ幅の狭いレールを敷くスーパー特急方式の工事費はフル規格の三分の二程度とされ、財源不足の中でフル規格整備の先行きは不透明だ。

 ただ、スーパー特急は日本のどこにも走っておらず、突っ込んだ研究もなされていない。北海商科大の佐藤馨一教授は、「スーパー特急を走らせるために投資しても、新幹線ほどの時間短縮効果は得られず、利用増も望めない。現実的ではない」と指摘している。(経済部 福本泰範、倶知安支局 内藤景太)

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