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高速道路開通シンポジウム つながる幸せ、もっと近い北海道へ。

北海道の高速道路ネットワーク形成の意義と活用

 道東自動車道・夕張インターチェンジ(IC)―占冠ICが10月29日、道央自動車道・落部IC―森ICが11月26日に開通します。
 北海道は広い大地に拠点都市が分散しており、人や物の移動に自動車交通が果たす役割は大きいといえます。高速道路のネットワークの早期形成は、圏域間の交流・連携の強化、地域経済の活性化、地域医療の充実に加え、大規模災害時には復旧活動や命をつなぐ物資輸送に大きな役割を果たすなど、国民の安心で安全な生活を確保する上で重要な課題です。
 しかし、北海道の高速道路はいまだ多くの未開通部分が残され、その整備は全国に比べて大きく遅れています。このことは地域間競争力の低下や過疎化など地域間格差を助長する問題にもつながっています。
 このような北海道の課題を確認し、道民生活の向上を図るため、10月12日「高速道路開通シンポジウム」が札幌市で開催され、道内各地域の方々による意見交換が行われました。(2011年10月29日 北海道新聞朝刊掲載)

■主催
 北海道高速道路建設促進期成会
■共催
 道東自動車道 夕張―占冠間 開通記念行事実行委員会
 道央自動車道 森―落部間 開通記念行事実行委員会
■後援
 北海道開発局
 東日本高速道路株式会社北海道支社
 北海道新聞社

田村 亨氏

田村 亨氏

室蘭工業大学工学部教授
本道における交通工学の第一人者として、国土交通省社会資本整備審議会 道路分科会、同分科会・北海道地方小委員会委員を務める。

【基調講演】経済効果と安心・安全の両面を見据えて 北海道と日本の未来に貢献できる道路づくりを

北海道の道路整備事業は今こそ転換期

 今回、道東自動車道・夕張IC―占冠IC間と道央自動車道・森IC―落部IC間が開通し、道央圏と道東圏が高速道路で結ばれ、さらに道南へ延伸することになりました。北海道においては待望の幹線ネットワークがつながるわけで、開通に尽力された多くの皆さまには、ひとりの北海道民として敬意を表したいと思います。

 小泉政権での道路公団の分割民営化から、政権交代後の民主党が掲げる「コンクリートから人へ、つくる時代からつかう時代へ」、そして今年3月11日の東日本大震災と、日本の道路事業をめぐる状況は大きく転換してきました。

 そしていま、東北および国が北海道を生産活動の分散拠点として見直し、北海道と東北が将来的に高速道路を介して連携することに大きな期待を寄せています。その意味でも今回の高速道路開通は、北海道にとって骨格形成を意味する重要な出来事といえるでしょう。

 しかし北海道の高速道路整備率は、全国平均の70%に対してやっと53%というレベルです。これまでの道路整備では費用対効果B/C(ビー・バイ・シー Benefit/Cost)をひとつの指標として議論がなされてきましたが、今年9月から安心・安全に関わる指標、大学関係者の造語ですがA/C(エー・バイ・シー 安心・安全/Cost)が新たに加わりました。これは北海道の道路整備にとって大きな転換期といえます。

高速道路で暮らしが変わる、未来が変わる

 高速道路整備にはさまざまなメリットがあります。日勝峠を例に挙げると、峠の回避ルートとして占冠IC―十勝清水IC間が開通、そして今回夕張IC―占冠IC間が開通することにより、夕張―十勝清水区間の移動時間は2時間から1時間10分に、実に50分も短縮されます。モノも観光客も、移動が大きく変わることが予想されます。

 安全面においても、占冠―トマム間開通の前年までは年間25件の人身事故がありました。それが国道の標高1022mから400m下に高速道路が開通したことによって16件に減少しました。また、これまで占冠村の人々の救急搬送先は旭川の赤十字病院でしたが、帯広の厚生病院というもう一つの選択肢が増えました。それに伴って帯広の医療機関でも患者の受け入れ体制の整備が進み、地域医療の充実につながっています。

 さらに高速道路は防災の上でも大きな意義があります。東日本大震災で高規格道路が海面との高低差によって津波を免れ、被災地への「命の道」となったことでも明らかなように、道央自動車道・森―落部間にも同様の効果が期待されるのです。また、観光においても道内各地の観光名所を結ぶネットワークができることは、北海道経済の大きな活力となることでしょう。

戦略的先行投資で未来につながる道路を

 とはいえ、財源には限りがあります。さらに、いま日本には人口減と震災復興という二つの課題が課せられています。こうした状況の中、これからの道路整備をどのように進めていくべきか。地域経済の活性化と関わりの深いB/Cも、自然災害によって地域が孤立しないことを考慮したA/Cも、ともに現在の道路ネットワークを対象にした評価指標でしかないのです。北海道では、少ない人口でしっかりと日本を支える農林水産業と観光業を育てようという地域成長戦略を立てて実践しています。このビジョンを支える将来の道路ネットワークを対象とした道路への先行投資が、今、北海道には必要なのです。北海道には140年余りの開拓の歴史がありますが、それは日本が北海道という大切な国土を育んできた歴史でもあります。これからの北海道は日本で、アジアで、全世界で、どんな位置づけがなされるべきか。北海道の未来開拓史の序章が、高速道路というインフラ整備なのです。B/CとA/Cのバランスを考えた道路投資とともに、地域の産業構造の発展をにらんだ道路の先行投資によって、道内はもとより、本州や東アジアとの連携も含めた、真の意味で“つながる”道路を実現してほしいと願っています。

<パネルディスカッション>高速道路の活用とその効果

ビジネス、暮らし、地域振興 それぞれの視点から見た高速道路の意義

川上 正宏氏

川上 正宏氏

倶知安商工会議所会頭

後志の食と観光を支える道路の早期実現を

 後志エリアの公共交通手段は函館本線の普通列車と路線バスしかありません。札幌まで距離は近いのに2時間半もかかってしまいます。そのため地域住民は車が頼り。しかし峠や狭いトンネルが多く、大変な思いをしています。現在余市―小樽間の高速道路整備が着手されましたが、完成までにはまだ時間がかかります。

 後志エリアは豊かな自然に恵まれ、安全な農産物も豊富です。さらにニセコなどのスキーリゾートは海外観光客の人気を集めています。これらを生かして後志エリアを食糧基地や国際リゾート観光基地として世界へアピールしていきたいと考えているところですが、日常の移動にも住民が不安を抱える生活環境の中で人口減も進み、決して順調とはいえません。食も観光も整い、必要なのは道路だけ。黒松内―小樽間が結ばれれば、黒松内からニセコ、小樽、札幌、千歳、苫小牧まで、輸送も観光ルートもカバーできるネットワークが誕生します。その日が一日も早く訪れることを願っています。

佐藤 克男氏

佐藤 克男氏

森町長

道路が食の価値を流通させる

 3年前に町長に就任するまで40年ほど神奈川で暮らしていました。高速道路の発展とともに成長を遂げた関東圏を間近に見た経験から、北海道の道路整備の遅れを痛感せずにはいられませんでした。11月26日、おかげさまで森町民が長年待ち望んでいた道央自動車道・森IC―落部IC間が開通。さらに来年は大沼公園まで延長されます。とてもありがたいことですが、その先の函館への延長は見通しが立っていないのは残念に思います。

 道路の意義は費用対効果だけでは測れません。せっかくの新鮮な農産物や水産物も空輸だと物流コストが高くついてしまう。北海道の価値ある「食」を経済活性化に生かすためには高速道路がぜひとも必要です。森町でも食料自給率270%もの豊富な食の恵みを広くアピールするために「食キング市」を月1回開催。道央自動車道を介して函館や札幌、苫小牧などから広く来ていただけるよう買物ツアーも構想中です。皆さんもぜひ高速道路を使って森町へ来てください。

田中 夕貴氏

田中 夕貴氏

オホーツクのみちと未来を考える会会長

命を守り、都市との共生を実現するために

 私が住む紋別市は鉄道がなく、旭川紋別自動車道が大切な支えとなっています。市内では医師不足により出産できず、妊婦は総合病院のある遠軽まで50kmを車で移動しなければなりません。私自身も冬場の悪路などに不安を抱えながらの通院を余儀なくされました。医療格差を抱える地方市町村にとって、高速道路ネットワークはまさに「命を守る道」です。オホーツク圏の高速道路整備率はまだ20%程度。何年待てば安心して暮らせるのか、はがゆい思いをしています。

 その一方、紋別市を中心としたオホーツク圏は豊富な漁獲物や農畜産物を生かした食糧基地としてはもちろん、豊かな森林がCo2削減に寄与するなど、さまざまな形で日本全体に貢献しています。道路が足りないためにこうしたポテンシャルを生かしきれないのは残念なこと。安心して子供を産み育て、地域の資源を活用して都市との共生が図れるよう、道路整備のさらなる進展を望みます。

野村 文吾氏

野村 文吾氏

十勝バス株式会社代表取締役社長

道で結ばれる“道東央国”の実現を

 十勝圏は農業を基幹産業とした非常に豊かな地域であり、地域内だけでも充実した事業活動が成立していました。しかし昨今のグローバル化に伴い、農業に加えて観光分野にも進出を図ろうという動きが出ています。十勝は今こそ一つにならなければなりません。そうした目的意識を明確にする上で、今回の道東自動車道開通は大きな意義があると思います。

 今回の開通によって道央や道南圏のお客様、さらには新千歳空港からの本州勢も呼び込める状況が整いました。これは十勝圏にとっては道内外の大マーケットが身近になったということであり、距離を超えた連携のチャンスでもあります。今後は交流人口を増やすことで観光産業や食産業を中心とした十勝全体の経済活動の活性化に期待しつつ、富良野を中心とした道央圏との高速道路を介した連携も強化。相互に観光活性化を目指す「道東央国」を築き、世界に通じる一大リゾートを確立するのが夢です。

企画:北海道新聞社広告局
制作:北海道新聞社電子メディア局
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