ピヤラ アイヌ民族の今

アイヌ民族の今を伝え、文化と歴史を考えるページ、「ピヤラ」は、北海道新聞釧路・根室版の夕刊で2006年7月から隔週火曜日に連載中の特集ページ。現在も、道東のアイヌ民族の取り組みや思いを発信し続けています。
不適切経理あった文化伝承事業 現場からは助成制度の問題指摘も (2010/03/02)
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公金を支出したアイヌ民族の文化伝承事業で不適切な会計処理があったとして、道は助成先の北海道アイヌ協会などに返還請求を行う方針だが、活動を続けるアイヌ民族からも助成制度自体の問題点を指摘する声が上がっている。阿寒湖畔での伝承活動の現場を訪ね、課題を探った。(鄭真)
各種講座 「直接学べる貴重な機会」 「さあ、こうしてやるんだぞ」 先月17日の夜、釧路市阿寒湖温泉のアイヌ民族交流館「ウヌカラチセ」。阿寒アイヌ民族文化保存会の松田健治会長が剣を振りかざすと、集まった6人の子供たちが見よう見まねで後に続いた。古式舞踊「エムシリムセ(剣の舞)」の練習だ。 周囲では母親や祖母らが見つめ、時に立ち上がって指導に手を貸す。子供たちが剣を弓矢に持ち替えた「クリムセ(弓の舞)」の練習では周囲の女性から、踊りに合わせてアイヌ語の歌が響いた。この日の昼には、同じ会場でアイヌ文様の壁掛け作り講座を開催。15人の女性たちが刺繍に取り組んだ。 保存会では毎年、観光の閑散期となる冬季を中心に、アイヌ文化を伝える各種講座を開いてきた。女性の参加者(44)は「年上の女性から、民族の文化について知らないことを直接聞かせてもらえる貴重な機会」と話す。 これらの講座は北海道アイヌ協会が道教委からの委託費を得て全道各支部で実施してきた。昨年11月、道議会でこの講座を含む文化伝承事業で公金の不適切な会計処理が指摘され、道は実態を調査。先月、同協会などに計711万円の返還を求める方針を固めた。 また、この請求とは別に道教委は昨年11月、協会との委託契約で定めた回数を超えた分の講座には、委託料を払わないと協会側に伝えた。契約を上回る講座について道教委はこれまで「委託料の支払いを暗に認めていた」。だが道議会での追及を受け、扱いを厳密にした。 協会によると、契約を上回る講座を本年度予定していた計10支部で委託料が見直された。阿寒の保存会でも踊りの講座を計7日、手芸の講座は計6日開いたが、どちらも契約の回数を超過していた。道教委の方針転換を受け、本年度の委託料収入が当初予算額からほぼ半減の26万円になる見通しだ。 調査の結果について保存会は「目的外の使用は許されることではない」とする一方、実態を把握しないまま助成が機械的に行われていることの問題点も指摘する。保存会では「契約に定められた回数だけでは十分な保存活動は難しい」ため、委託料の大半を占める講師らの謝礼を、講師が善意で講座の必要経費に充当し、学ぶ機会を維持しているのが実情という。 一連の助成事業は、道や道教委がアイヌ文化保存のため行っている政策だ。 松田会長は「そうである以上、職員は活動の現場を見てその重要性に納得した上で助成を行うべきではないか。現場も訪れず、書類審査だけで済ませるから不正が起きたり、真に必要な額が助成されなかったりする」と話している。 |





