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札幌・もみじ台南中が「地育」推進 万引、非行 地域で防ぐ (2011/01/19)

地育カードを付け意見交換するホクノースーパー中央店の佐渡谷孝祐店長(左)ともみじ台南中の保護者たち

地元スーパー、保護者も協力 近隣5校と連携へ

 地域とともに非行や万引防止に取り組む運動が昨年秋から、札幌市厚別区の市立もみじ台南中(開発好博校長、236人)で始まった。「紙上討論会」と名付けた生徒へのアンケートで問題意識を喚起し、保護者と教員、地元スーパーの従業員は「地育(ちいく)」と書かれたカードを胸に付け、店内や校区内で生徒を見守る。4月からは近隣の小中学校5校とも連携することになり、運動はもみじ台地域全体に広がりを見せている。(伊東由衣)

 同校は警察の出前教室や学年集会で、万引を含む非行防止の呼び掛けに力を入れてきた。一方的な呼び掛けだけでは不十分とみて昨年10月からは、生徒が仲間の意見に触れ、自ら善悪を判断できるよう成長してほしいと、2年生71人を対象にアンケート方式の「紙上討論会」を企画した。

 紙上討論会は、「万引に罪の意識を感じないような人が自分たちの中にいることをどう思うか」「万引で得すること、損することは」など、いくつかの質問を盛り込んだプリントに、生徒に無記名で考えを書かせた。集まった意見を紹介し、それを基にさらに考えを書かせる方式で、計5回のやりとりをした。

 万引が起きる原因として「周囲に流されている」という声には、「ちゃんとした友だちを作ればいい」といった意見があった。「万引はお金が減らずに欲しい物が手に入る」という見方には、「それを使う自分が怖くならないか。万引をする人が早く減ればいい」との反論があった。この結果、生徒71人のうち、万引を「非常に悪い」としたのは最初62人だったが、3週間後の4回目のアンケートでは67人に増えた。

 昨年12月のPTA集会で学校側が2年生の保護者に報告したところ、「学校だけでなく地域での見守りが必要」と、保護者も外出の際など、できる範囲で見守り活動をすることが決まり、地域で育てるという意味の「地育」カードを作成。保護者全員に配布した。

 学校側は校区内のホクノースーパー中央店(佐渡谷孝祐店長)にも協力を打診。店側も快諾し、同店の主任、部門責任者ら6人が地育カードを付けることにした。12月24日には同店で保護者と教員、佐渡谷店長が巡回を実施し、保護者の一人は「大人が生徒のことをいつも見守っているという思いを、買い物のついでに伝えられる」と、地育カードの効用を話した。

 同校はもみじ台地区の小中学校5校にも呼び掛け、協力体制づくりを確認。自治会も賛同し新年度からは、もみじ台地域全体で「地育」が本格始動する。

 札幌の中学校全98校には学校やPTA、町内会などでつくる中学校区青少年健全育成推進会があり、地域ネットワークづくりや巡回に取り組んでいるが、商業施設が積極的にかかわる例は少ない。

 ホクノーの野地秀一社長は、生徒や保護者がカードを付けた店員に会釈する姿が見られるようになったといい、「地域に関心を持つのは地元密着店として大事。できるだけ協力したい」と話す。土田英之教頭は「生徒を見張るのではなく、地域全体で声を掛け合って見守る雰囲気をつくりたい」と話す。

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