どうしんウェブ 北海道新聞

  • PR

  • PR

もっと知りたい

乳価 (2008/02/09)

 ホクレンと大手・中堅乳業メーカー十五社による乳価交渉が妥結し、四月からの生乳一キロの平均品代が前年度比8%の引き上げとなった。これにより、農家手取りの平均価格は同五・一円(7%)増の七九・二円程度が見込まれているが、生産者側はさらに上積みが必要として、補助金増額を要望している。三十年ぶりの大幅引き上げとなる、乳価の決定の仕組みを探った。(拝原稔)

【4月から8%】 30年ぶり大幅アップ

 乳価はメーカー側が支払う品代と、政府などが支払う補助金からなる。品代を話し合うのが乳価交渉だ。補助金は国が検討中で、今月二十一日に決まる予定だ。

 北海道の生乳価格は、飲用向けが大半の本州と異なり《1》飲用向け《2》バター、脱脂粉乳向け《3》生クリーム向け《4》チーズ向け−の四項目に分かれる。

 ホクレンによると、妥結した品代は《1》が一キロ九九・四円(前年度比3%増)《2》が同六二・九六円(同9%増)《3》が同七一・五円(同6%増)《4》が同五一円(同24%増)。

 酪農家の実際の収入は、出荷した生乳の用途にかかわらず、「プール乳価」と呼ばれる平均価格で決まる。全道で出荷される各用途の生乳の品代と補助金の総額を、生乳総生産量で割ってはじき出す。つまり、平均価格に生産量をかけた数字が各酪農家の手取りとなる。

【背景】 飼料の国際価格高騰 酪農家の経営を圧迫

 乳価が大幅に引き上げられたのは、世界的なバイオエタノール増産によるトウモロコシ需要の急増やオーストラリアの干ばつなどで、飼料の国際価格が高騰したためだ。二○○六年末以降約20%も上がっている。

 飼料代のほかにも、原油価格の高騰を背景に、トラクターの燃料代、サイレージを包むビニール代などが軒並み上がっており、農家経営に一層のダメージを与えている。赤字転落、離農などの現象も出ており、釧路、根室、十勝など主産地で乳価大幅引き上げを求める集会が開かれるなど、農家側からの引き上げ圧力も高まっていた。

 このため、ホクレンは昨年十一月、9%という大幅引き上げをメーカー側に要望していた。

 一方、メーカー側にとっても、チーズをはじめ乳製品の原料確保、乳用牛の頭数確保などは極めて重要で「酪農家の厳しい状況は十分理解している」(雪印乳業)として、ホクレンの要求に近い8%まで歩み寄った。

【補助金】 「手取り足りない」JAは上乗せ要求

 国からの補助金の総額は本年度約二百五十億円。酪農経営の安定や農地保全、食料自給率向上につなげる狙いがある。

 補助金は三種類。このうち、バター・脱脂粉乳価格が下がった場合に支給される「加工原料乳生産者経営安定対策」は、本年度は平均乳価七四・一円のうち○・六円分を占めたが、新年度は支給されない。

 残る二つのうち、額が大きいのは、バター・脱脂粉乳向けの手取り不足を補う「加工原料乳生産者補給金」で、本年度は四・六円。もう一つ、生クリーム用の増産とチーズ用の国内自給率拡大のため、双方の増産分に出る「生乳需要構造改革事業奨励金」があり、こちらは本年度は一・六円だった。

 この二つがほぼ前年度並みとすると、新年度は品代が8%上がっても、農家の実質手取りは7%増(キロ平均五・一円)にとどまる計算となる。

 このため、道内の酪農家からは「生産コストは一キロ当たり約六円上がっており、値上げ幅が五・一円では足りない」「飼料の高騰は今後も続き、乳価の上げ幅と生産コストの差額はもっと広がる」などの声が相次いでいる。

 JA道中央会(札幌)は、この不足分を国の補助金の増額などで補いたい考えで、要請活動を続けている。さらに、現状の飼料高騰は「極めて異常」として、国に緊急的な飼料高騰対策も求めている。しかし、農林水産省は「飼料価格に補助を出す仕組みは世界的に前例がない」(畜産振興課)としており、二十一日の決着まで、水面下での折衝が続きそうだ。

<メモ>

 乳価は、牛乳など乳製品に加工される前の生乳の価格。ホクレンによると、本年度の道内の生乳生産量は371万トンの見通しで、全国の48%を占める。道内で生産された生乳の98%は、酪農家から各地の農協に出荷され、ホクレンが委託販売する。乳業メーカーとの価格交渉はホクレンが一手に担う。乳価改定は年1回で、通例では年明けからの交渉になるが、大幅値上げ必至とされた今回は、ホクレンが異例の早さで11月に9%アップの要望を出した。

もっと知りたい コンテンツ一覧

このページの先頭へ