どうしんウェブ 北海道新聞

「ミユの寄り道たびノート」 初めての景色 あたたかな出会い VOL.1〜宗谷・オロロンルート〜

宗谷シーニックバイウェイ<1>

 北海道の各地にはすばらしい宝ものがたくさんあります。このシリーズでは、全道12ルート(指定8ルート、候補4ルート)で展開中の「シーニックバイウェイ北海道」を訪ね、地域の人たちとの温かな交流のある旅の感動を、皆さまと分かち合います。ガイドブックに載っていない人々との出会い、その土地ならではの食や景色などを、旅のプロを目指す札幌国際大学観光学部の2年生、ミユさんがリポートします。1回目は、「宗谷シーニックバイウェイ」と「萌える天北オロロンルート」の2ルートを訪ねました。(取材は2009年5月2〜4日)



 「まずは北から始めよう」。編集会議で、初レポートの舞台が宗谷と留萌に決まりました。私にとっては初めての場所です。取材初日の5月2日朝、札幌を出発。日本海を北上し、稚内を目指しました。

 北海道の広さを感じながら、夕方に稚内着。郷土料理「車屋・源氏」で名物「たこしゃぶ」を食べました。店主の岩間幹生さん(57)は、稚内観光協会の会長を務めるまちおこしのリーダー。このメニューは、20年以上前に地域の仲間たちと、宗谷海峡で採れるミズダコを活かした新メニューを作ろうと思い立ち、タコの厚みやたれの味付けなどを工夫しながら、3年ほどかけ、やっと作り出したそうです。

 大皿に載った一切れ一切れは、私の手のひらほどぐらい大きく、カチカチに凍っていました。シャブシャブ…して、特製のさっぱりたれをくぐらせると、柔らかいタコから出る甘さとコリコリッとした食感が味わえました。「タコの繊維を通して、向こうが見えるくらいに薄く切っているから」と岩間さん。どんどん食が進みました。


 次に出てきたのは「陶板焼き」。岩間さんが目の前で作ってくれました。両手に余るほどの山もりのマーガリンを鍋にかけ、それが溶けたところに豚肉や魚貝を入れます。その上にふたの役割も兼ねる、もやしなど野菜を乗せ、蒸し焼きに。見た目にもカロリーオーバーかなとビクビクしていたマーガリンは、たっぷりの野菜となじんでしまい、心配はどこへやら。魚貝から出ただしが加わって、箸が止まりません。


車屋・源氏
北海道稚内市中央二丁目8-22
0162-23-4111
11〜14時、17〜22時、不定休

 学生の私にはなかなか口にできない飛び切りの料理を食べながら、稚内の食をテーマに話は大いに盛り上がりました。豚の脂身の塩漬けを持ち込んで「切ってほしい」と頼み、これをサカナにウオッカを飲むロシア人の常連客もいるそうです。札幌ではあまりロシア人を見かけませんが、稚内がサハリンと隣り合わせであることを実感。初日から驚きの連続でした。



 生まれて初めて「日本の最北端の地」(実際の最北端は、北方領土・択捉島)の碑の前に立ちました。感慨にふけっていた私ですが、力を少しでも抜いたら吹き飛ばされそうな風。「今日だったら、風速20メートルぐらいあるよ」と、岬にあるお土産屋さんのおばさんが言っていました。最大瞬間風速はその1.5倍から3倍になることもあるそう。この風を体験するだけでも、ここに来る価値ありです。晴れていれば、約43キロ先のサハリンの島影が見えるそうです。隣の国が見える場所が日本にもあるんですね。


 「宗谷岬には8つの碑があるよ」と地元の人が教えてくれたので、全部探してみようと思い、強風の中、岬先端の広場や道を渡った高台にある宗谷岬平和公園の中に点在する碑を見て回りました。国境の岬で、平和に関する碑文を読みながら、先人の苦労があって今の私たちの暮らしがあることに感謝する気持ちが湧いてきました。



 道を間違ったんじゃないかなとドキドキするくらい、周りには風力発電の風車と牧場しかありません。でも進んでいくと、見たことのないような景色が一気に広がります。

 丸みを帯びた丘陵と谷が、互い違いに模様を描きながら続く宗谷丘陵周氷河地形です。氷河期に地表の岩の割れ目に水が入って凍り、その氷が溶けて・・・を繰り返し、現在の形を作り出しました。他の場所では見ることのできない規模で、北海道遺産にも登録されています。


住所 稚内市宗谷岬周辺
NPO法人 北海道遺産協議会
http://www.hokkaidoisan.org/

 大学の地理の講義で周氷河については学んだことがあり多少は知っていたものの、実際に見たのは初めて。なぜ複雑な形になるのか、言葉にできない不思議さです。予備知識がないと、この地形がどういう歳月を重ねてできたものなのか分かりません。丘陵の途中にある駐車スペースに説明書きを設置して、北海道遺産がどういうものなのか、選定理由なども分かると、もっと多くの人とこの素晴らしさが伝わるはず!!  宗谷岬はこの宗谷丘陵の一部ということも、今回知りました。ぜひぜひ、宗谷岬を訪れた際には訪ねてくださいね。




 そんな不思議な風景を抜け、稚内空港方面に向かって走っていると、またまた、たくさんの風車が現れます。風が強い地域だからこんなにたくさんあるのかな? プロペラが壊れないように、羽根の先端が時速80kmを超えないよう自動制御されていると聞くと、この場所の風の強さがわかります。風車の真下に立ってみるとゴォーという音がはっきりと聞こえました。


大沼バードハウス

 南から来た鳥たちが北へと飛び立つ経由地となっているので、給餌の係員の周りには1000羽ほどの野鳥が。6月にはその多くがシベリアへ旅立つそう。

稚内市声問
TEL 0162-26-2965



うろこ市

 稚内駅からほど近いところにあるこじんまりとした市場。入ると大きなカニがずらっと並ぶ様が目に飛び込んできました。ふだんはあまりしないんだけど、試食用の明太子がおいしそうだったので、ついつまんでしまいました。ここは、「シーニックドライブマップ」の特典が使えます。地図を見せると、利尻富士の伏流水で落としたコーヒーが一杯飲めます。

住所 北海道稚内市中央5丁目6−8
TEL 0120-211-911
営業時間 8:30〜20:00
定休日 無休
※10月〜11月、1月〜3月は、日曜定休
http://uroco1.com/


道立 宗谷ふれあい公園
住所 北海道稚内市声問5丁目40番1号
TEL  (0162) 27 - 2177
http://www.pref.hokkaido.jp/kensetu/kn-wakdg/kouenhp/fureaikoenn.html

稚内新エネルギー研究会
http://www.rera-vie.jp/



ミユさんプロフィール

 ミユ 1989年、札幌生まれ。札幌国際大学観光学部2年在学中。趣味はピアノと旅行。将来は旅行に関する仕事に就きたいと、資格試験に向けて勉強中。

シーニックバイウェイ北海道とは?

 ドライブする人に「シーニック(景観の美しい)、バイウェイ(脇道、寄り道)」をゆっくり走り、景色だけでなく、目的地へ向かう途中の土地の魅力を楽しんでもらおう。地域資源を住民の手で磨き上げ、土地を訪れた人々と地域との交流の場を作ろうという取り組みが「シーニックバイウェイ北海道」です。「地域住民が主役」が基本で、地元のNPOなどの民間団体が企業、行政などと連携しながら地域の活性化、地域資源の再発見、景観づくり、魅力ある観光空間づくりなどを行っています。2005年から始まり、09年5月現在8つの指定ルートと4つの候補ルートがあります。

http://www.scenicbyway.jp

※「シーニックドライブマップ」の説明はこちら
http://www.scenicbyway.jp/support/drivemap2009/


次はサロベツ原野にたたずむ、アトリエ+ギャラリー+カフェ=あとりえ華

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