【緊急リポート】転機の老舗 丸井今井、伊勢丹傘下へ
<上>体質改善 変わらぬ「他人資本依存」 ブランド維持へ改装資金が不足 (2005/05/13)
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「私どもがご支援申し上げることによって丸井今井さんの事業の継続性をしっかり見込めるかどうかが判断材料になる」。伊勢丹(東京)の武藤信一社長は十二日、東京で開かれた決算発表記者会見の席上、慎重な言い回しながらも丸井今井支援を前向きに調整する意向を表明した。
丸井今井の現在の業績は、道内小売業者の中でとりたてて悪いというわけではない。今年一月末の有利子負債残高は四百三十二億円で、今井春雄前社長を解任した一九九七年の半分以下に減少。大丸の札幌進出で競争激化しているとはいえ、最近五年間の経常利益は十億−二十億円台で推移している。 だが、伊勢丹や取引金融機関に示した再建計画案には、危機が静かに忍び寄っていることを示す文言が散見される。「特選ブランドを中心に…改装しないと撤退と言われている」。ルイ・ヴィトンやシャネルなどの人気高級ブランドの引き留めが課題となっていることがうかがえる。 丸井今井札幌本店の二○○四年売上高は六百億円で三越札幌店に百二十億円、大丸札幌店に二百億円の大差を付けて地域一番店の座を堅持した。しかし、圧倒的にみえる差も、集客力のある人気ブランドが移転すれば一変する。 一九八○年代後半に百貨店業界の先陣を切って導入した販売時点情報管理(POS)システムも「耐久年数を超え、多額な投資が必要となっている」。こうした必要不可欠な投資は今後五年間で百三十億円に上る。 だが、丸井今井には「投資に必要な現金を生み出す余力が徐々になくなっている」(取引金融機関幹部)。○五年一月期の売上高千五十億円の丸井今井だが、一年間の企業活動で手元に増えた現金(キャッシュフロー)は三十五億円。現状のままでは毎年五億−十億円ずつ減少していく計算だ。九九年の再建策に基づき有利子負債削減を優先せざるを得ない結果、投資に回す資金が不足し、その結果として営業力が低下してさらに資金が減少するという悪循環に陥っているのだ。 「昨年末のボーナスはすずめの涙でした」。ある社員が証言するように経費削減も限界に近い。 百貨店業界はその長い歴史の中で、ほとんど資金調達に困ったことはなかった。老舗ゆえに地元有力銀行と蜜月関係を築き、取得した土地に自分で出店するだけで担保価値が上がる。資金が必要な時はいつでも銀行から借りることができた。その典型が「百億円でも無担保で貸していた」という旧拓銀と丸井今井の関係だったといえる。 しかし、そうした「幸福な時代」は一九九○年代のバブル崩壊と金融不安で暗転した。 「他人資本依存」という旧来型の体質を引きずったまま借金返済に全力を傾けてきたため、必要な資金が枯渇しかけているというのが今の丸井今井の姿だ。 事業を継続していこうとすれば、地域一番店という企業価値を失わないうちに、取引金融機関や業界の“勝ち組”である伊勢丹の支援の下、「体質改善に取り組む」(北洋銀幹部)のが必然だったといえる。(浜中淳) |



