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【緊急リポート】丸井今井 再生へ

<上>「本命」断念 金額優先 苦渋の選択 (2009/05/01)

 一月末の民事再生法の適用申請から三カ月。丸井今井は再建支援のスポンサーに三越伊勢丹ホールディングス(HD)を選んだ。地方店重視の高島屋を本命視し最終調整まで進みながら、土壇場で一転。選定過程からは、店舗存続と雇用維持という「理想」と債務返済の「現実」に揺れる丸井今井の苦悩が垣間見えた。

高島屋を好感

 「全従業員と店舗を守ろうと選定に入ったが、高島屋案では銀行も裁判所にも、一般債権者にも認めてもらえない。苦渋の選択だった」。三十日に記者会見した畑中幸一社長は無念さをにじませた。

 二月下旬に支援に名乗りを上げて以来、地方店存続をうたい、雇用維持に配慮する高島屋を丸井今井は好感。北海道銀行をはじめ金融機関の間にも「事業譲渡額(買収額)に大差がなければ高島屋」との見方が広がり、高島屋をスポンサーにする流れは強まっていた。

 ところが、四月十五日の再建案提出をきっかけに流れが変わる。

 高島屋は地方店に関しては存続を打ち出したが、百貨店事業の買収額として百億円程度を提示。不採算の旭川店を引き継ぐので低く見積もらざるをえなかったためだが、丸井今井は戸惑いを隠せなかった。

 この金額では、破綻(はたん)後に生じた仕入れ先への商品代金や税金、従業員への退職金も払えない。

 一定の譲歩も考えていた金融機関も「(株主への説明責任上)のむのは容易ではない」(道銀幹部)との考えで、丸井今井の焦りは強まった。

残った不信感

 最終調整が進むにつれて、「丸井今井や金融機関は債権回収しか考えていないのではないか」(高島屋首脳)、「高島屋は安く買いたたこうとしているのではないか」(丸井今井幹部)と、相互不信は深まった。

 丸井今井幹部は「金額さえ条件を満たしてくれれば、高島屋なのに…」と困惑。二十六日に最後の交渉に臨んだが、期待する回答は得られなかった。高島屋も最終的に百二十億円超まで買収額を引き上げたが、交渉は決裂。本命を断念した丸井今井に残された選択肢は、三越伊勢丹だけだった。

 高島屋は選定先発表後に「提案に瑕疵(かし)や不備があったと考えておらず、誠に遺憾」とのコメントを発表。相思相愛と思われていた関係は対立となって終止符を打った。

 一方、百三十億円超を提示し、選ばれた三越伊勢丹も「金額を比べて交渉するようなやり方はおかしい」(首脳)と不満げ。真っ先にスポンサー就任を要請したはずの丸井今井のぶれに不信感を募らせ、後味の悪さを残した。

 選定作業を終えた丸井今井幹部は「再建にはハートが大切。スポンサーとどれだけ一緒に頑張れるかがカギ」とかみしめる。たもとをいったんは分かつかに見えた丸井今井と三越伊勢丹が再び一丸となれるのか、老舗百貨店の再生にもはや失敗は許されない。(合津和之、関口裕士)

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