納棺師 (2008/09/27)
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| ピンセットや綿、化粧道具など道具一式が入ったかばんと本間さん |
遺族の前で遺体をふき清め、関節を伸ばして死後硬直を解く。ほおをマッサージして綿を入れ、表情を和らげる。作業は故人の体の上に浴衣をかけ、肌を露出させないままで行い、最後に白い着物を着せる。この間、約一時間。技術の会得には半年以上かかるという。
二十五歳の時、知人だった同社社長に「うちに来ないか」と声を掛けられた。死体は一度も見たことがなかった。初めて触った遺体は冷たく、生きている人との違いを感じた。「自分には絶対無理だ」と思ったが、先輩の仕事を見せてもらい、やることにした。
五十代で病死した男性の納棺を手掛けたことがあった。口を開けて苦悶(くもん)の表情を浮かべていた。遺族は声をあげて泣いていた。ひげを剃り、ほほ笑んでいるような表情にした。テニスが好きだった故人のためにと、遺族の求めに応じてTシャツと短パンのテニスウエアを着せた。「お父さん、病気になる前みたいだね」と遺族が声を掛けた。「履かせてあげてください」と白い靴下を渡すと、笑みがこぼれた。まるで、テニスの合間に眠っているみたいだ。そんなつぶやきが聞こえた。
昨年、東京支店に勤めていた際に、本木雅弘主演で公開中の映画「おくりびと」の演技指導も務めた。「人生最後のセレモニーのお手伝いができて、感謝もしてもらえる。やりがいのある仕事です」
(青木美希)






