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現代かわら版

札幌ドーム○○個分 統一面積 ありません (2008/12/17)

空から見た札幌ドーム。敷地面積は約30ヘクタールで建築面積も約5.5ヘクタールと広大だ

約1.5ヘクタールの札幌ドームのアリーナ。スポーツの試合ばかりでなくコンサートなどにも活用されている

 どれだけ大きいかを表す時に最近、よく使われるのが「ドーム何個分」という表現。札幌ドームが完成して七年がたち、道内では東京ドームに代わって、札幌ドームの大きさが指標になりつつある。ところが、この札幌ドームの面積、活用している自治体や施設によって「一個分の面積」になぜか違いがある。どうしてだろう。調べていくうちに意外な事実にぶち当たった。実は決まった「ドームの面積」は存在しないようなのだ−。(小坂洋右)

根拠はそれぞれ 敷地、建築、アリーナ…基準バラバラ

 「モエレ沼公園の総面積は、札幌ドーム三十四個分」

 「世界全体で一年間に飲まれたビールの量は札幌ドーム約百五杯分」−。

 自治体や施設、行政の発表で、札幌ドームの大きさをたとえとして使う事例が最近目に付く。ところが、その基準となっている札幌ドームの面積には、実はばらつきがある。

 使われている一つは「五・五ヘクタール」前後。「面積一八八・八ヘクタール、札幌ドーム約三十四個分の広さがある」とPRする札幌市のモエレ沼公園や、「五十四ヘクタールで札幌ドーム十個分」をうたう北海道開拓の村がその一例だ。

 一方、札幌ドームの面積を約「一・五ヘクタール」で計算して発表しているのが、北海道森林管理局。二〇〇四年九月の台風18号による森林の被害面積を「全道で約三万七千ヘクタール。札幌ドームの面積の約二万五千個分」と伝えて、今もホームページなどで風倒木の処理をアピールしている。同様の数字は、網走管内滝上町が町内の観光名所紹介の中で使うなど、他にも散見される。

 また、札幌市は札幌の公園の総面積を「二〇〇九・七ヘクタールで、札幌ドーム六十六個分」と広報。割り返すとドーム一個が「三十ヘクタール強」の計算になる。

 三十ヘクタールといえば、森林管理局が使っている「一・五ヘクタール」の十五倍だ。同じ施設の面積なはずなのに、ちょっとかけ離れすぎでは?

 それぞれの根拠を聞いてみよう。

 まずは札幌市の広報課。答えは「敷地の面積を使った結果、そういう計算になります」。一方、森林管理局の回答は「私たちが使っているのは、クローズド(屋内)アリーナの面積」(保全業務課)。北海道開拓の村は「建築面積を元にしています。ドームに足を運んだ人にとっては、建物の大きさのイメージがあるから分かりやすいはず」(事業課)と言う。

 では、札幌ドームとしてはどのような数字を発表しているのか。株式会社札幌ドームの総務課広報担当の菊地圭児主任は「物さしとして使ってもらえるのは光栄」としつつ、「敷地、建築面積、延べ床、屋内アリーナ、屋外アリーナそれぞれの面積を公表していますが、ドームの面積をこの数字でお願いしますと私たちから言うことはありません。人によってそれぞれの取り方があると思いますから」と立場を明かす。

 ドームの所有者である札幌市も「ドームの面積と言う時、どの数字を使うか、基準はありません。市が定めるものでもないと考えます」(スポーツ部施設課)との見解。「ただ、使われているのは、建築面積が多いようです」と話す。

 「何個分」の元祖ともいえる「東京ドーム」はどうだろうか。

 「何個分という時には建築面積の四・六七五五ヘクタールという数字を使ってもらうことにしています。ほかの数字は通常出しません」と宣伝広告部の奥田浩史係長。明快だ。

 奥田係長は「ドーム何個分」の表現について、別の観点からも疑問を呈した。「ドーム何千個分とかいう言い方もされますが、大きさを具体的にイメージできますか。ただ大きいんだといわんがために使われているように感じる時がありますね」

数のトリックも

 ただ、「何個分」が必ずしも分かりやすさにつながらない例がある。

 道によると、二〇〇六年度、一年間の北海道全体の家庭ごみと事業系ごみの総量は札幌ドーム「五・二杯分」。札幌市によると市内では同年度、家庭ごみだけで札幌ドーム「三杯分」出たという。

 この数字を単純に比較すると、人口では約三分の一の札幌市民が、家庭ごみだけで全道の半分以上を出していることになるが、重量では道全体(事業系も含む)が約二百四十六万八千トンで、札幌市(同)は約八十五万四千トンと約三分の一。重さでは「三分の一」なのに、ドームに換算すると半分を超える理由は何か。何杯分と換算する時に使われる容積は札幌ドームでも「百五十八万立方メートル」という一つの数字しかないから、基準として使われている容積はこの場合は同じだ。違っているのは「ごみ一立方メートル当たりの重さ」の設定値。それが道と札幌市で異なることからこんな「数のトリック」も起きる。

 日常さりげなく使われ、何となく納得している「札幌ドーム何個分」の表現。しかし、今の使われ方では逆に本当の大きさを分かりにくくしている側面もある。かといって、いちいち「敷地面積の何倍」「建築面積の何倍」と注釈を付けるのもスマートじゃない。とすると、やっぱりどれかに統一した方がいいということになる。

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