ライバルは道産米
<上>危機感 コシヒカリ偏重脱却 (2009/07/28)
7月上旬。新潟市のJA新潟ビルで、米戦略のあり方を探る検討委員会が開かれた。2時間半に及ぶ会合を終えたJA新潟中央会の重野徳夫専務は「危機感を共有する良いきっかけになった」と、疲れも見せずに語った。
きっかけとは、中央会の諮問機関「JAグループ新潟政策提案研究会」(座長・青柳斉(ひとし)新潟大教授)が4月にまとめた答申を指す。 「先人が築いた新潟米の評価に安住し(中略)危機感を共有していない」「新潟米の市場評価は、いずれ他産地(特に北海道)に追いつかれ、追い抜かれることも想定される」 猛省を促す厳しい内容に、重野専務は「コシヒカリにあぐらをかいた面があったのは事実」と率直に認める。 下がる市場評価 ここ数年、新潟米の市場での評価は低迷している。2005年から07年にかけ、新潟米は大量に売れ残り、約15万トンが政府備蓄米の買い入れ対象になった。コメ王国にとって屈辱的な出来事だった。 苦戦の背景に、「安くておいしい米」の台頭がある。その代表格が道産米だ。食味ランキング(日本穀物検定協会)で特Aの「魚沼コシヒカリ」は別格として、「きらら397」「ななつぼし」「ほしのゆめ」は「新潟コシヒカリ」とともにAランクで肩を並べる。 一方、小売価格は農林水産省の価格調査によると、「新潟コシヒカリ」(一般)が10キロ約5000円なのに対し、「きらら」「ななつぼし」は3500〜3600円と割安だ。 昨夏、道内を視察した青柳座長は驚いた。品質や産地による分類を全国で初めて導入。徹底した管理で高水準の品質を確保している。販売面でも、異なる分類や等級の米をブレンドすることで、顧客の好みに応じた食味をつくるなど外食・中食(なかしょく)市場の多彩な要求に応じられる態勢を築いている。「生産から集荷、販売まで非常に先進的」と高く評価する。 品質の目安となる1等米の比率も、道産米や有力産地米が90%前後を維持しているのに対し、新潟米は85%前後。県内JA間のばらつきが影響しており、県も「全体の底上げが急務」(農産園芸課)と、5月下旬に「新潟米食味・品質基準検討会」をつくり、ブランド強化に乗り出した。 安い銘柄にも力 中央会は答申を踏まえ、11月の県大会で米戦略の方向性を示す。コシヒカリ偏重から脱却し、低価格銘柄「こしいぶき」の栽培にも力を入れる一方、道産米などに先行された外食・中食市場にも攻勢を強めていく考えだ。 「トップランナーというのは、いつも後ろに誰かいるから」。背後に迫るライバル道産米の足音に、重野専務は表情を引き締めた。 |




