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崩食豊食 <第6部> 安全・安心の死角

<1>国産信仰 偏った需要 偽装生む (2008/07/22)

店頭に並ぶ国産ウナギのかば焼き。売れ筋だった外国産が嫌われ、人気が集中する

 日本の食の揺らぎを見つめてきたシリーズ連載「崩食豊食」。最終部では、これまで消費者や行政が見過ごしたり、思いこんだりしてきた食の「安全・安心」の裏側に潜む危険を探る。


 見なれないラベルのウナギのかば焼きが六月、道内スーパーで売り出された。「台湾産鰻(うなぎ)」と書かれた横に「静岡加工」とある。国産の三分の二ほどの価格だ。

 新商品を考えたのは札幌中央水産。関洋克チーフは、ラベルで国内加工を強調することで「外国産に客を呼び戻したい」と話す。

 米国向けの中国産ウナギから発がん性抗菌剤が検出された昨年六月以来、加速した消費者の「外国産離れ」。国産かば焼きの引き合いが殺到し、札幌中央水産でも翌七月、買い集めていたほぼ一年分が一カ月で売れた。

 一方、中国産かば焼きは当時の在庫がいまも売れ残っている。国産の卸値は一キロあたり五千円台と一年前の一・五倍を超え、中国産との価格差は三倍、台湾産とは二倍近くまで開いた。

 こうした風潮に対し、「食品の迷信」(ポプラ社)の著者で、自らウナギ輸入を手がける美唄市出身の芳川充さん(45)は「行き過ぎた国産信仰は偽装を生む」と警告する。

 六月には、大阪の輸入業者「魚秀(うおひで)」などが約二百六十トンの中国産かば焼きを国産と偽っていたことが分かった。昨年九月以降に発覚したウナギの偽装はこれで十一件目になる。

 芳川さんによると、国内の活ウナギの生産量は年二万トン。このうちウナギ屋へいく分を除き四千トンが市販のかば焼きになる。しかし、「国産」とされる市販品は二万トンもあり、「その差一万六千トンは実は外国産」という。

 魚秀はかば焼きの箱を詰め替えるなど手間をかけたが、芳川さんは「むしろ、活ウナギを輸入して取引伝票を『国産』と書き換える手口の方が簡単で多い」とみる。

 貿易統計でも、中国産活ウナギの輸入量は五年前から急増している。旺盛な国産需要が偽装に支えられているとすれば皮肉な話だ。

 そもそも、外国産食品は国産よりも「危険」なのだろうか。

 アジア食品安全研究センター(東京)の別所良起主任は「国産は無検査でも店に並ぶが、中国産はすべての品目が輸出前に検査される。日本での輸入検査もあり、食卓に上がるまでのハードルは国産よりも高い」と話す。

 ウナギの比較はないが、厚生労働省が農産物の残留農薬を調べたところ、輸入品の0.34%で検出された(二〇〇二年度)。国産より0.1ポイント低い。

 基準を超えた違反になると、逆に輸入品は0.03%で国産を0.01ポイント上回ったが、これは一万個に一個の違いでしかない。「国産だから安全」「外国産だから危険」と単純に割り切れないことを如実に示す数字ではないか。

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