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放射能から身を守るには

住宅街に立つ防災行政無線の放送塔。恵利さん(右)らは、放射線量の数値に基づいた冷静な対応を心がける=茨城県東海村

 福島第1原発事故を契機に、茨城県東海村が放射性物質の測定値の広報を始めた。同村では1999年の核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)の臨界事故で、住民ら667人が被ばく。再び放射性物質拡散の不安に直面した村民は、数値に基づき「正しく怖がる」教訓をかみしめている。(東京報道 桑折しのぶ)

福島原発防災無線で 「怖さ」数値で確認

 「放射線量は1時間当たり、約0・09から約0・19マイクロシーベルト」。18日午後、村内62カ所の放送塔から防災行政無線が響いた。平常の約3倍の値だが、徐々に下がっているという。  村は福島第1原発から南南西115キロにあり、人口約3万7千人。東海第2原発や研究機関など12の原子力関連施設が集中する。

 村は福島原発事故1週間後から毎日1〜2回、七つの測定個所の放射線量と水道水から検出されたヨウ素の数値を流している。防災無線で線量を周知するのは珍しい試み。住民から「線量はどのぐらいか、問い合わせが相次いだ」(原子力対策課)ためだ。

 核物質が制御不能のまま核分裂の連鎖反応を起こし放射線を発生させた臨界事故では、村は防災無線で「避難して」「離れれば安全」などと呼びかけた。元飲食店経営者の住谷(すみや)永一さん(63)は当時、自宅から約300メートルのJCO南側で1時間当たり最大4500マイクロシーベルトが計測されても、「JCOってどこにあるの?という状態。怖さがわからなかった」。

 だが、村特産の干しイモは放射性物質が検出されなかったが、販売が落ち込み、風評被害が起きた。きちんと数値で問題がないことを説明する必要性を痛感したという。

 あれから12年。村議の恵利(えり)いつさん(54)は「何も分からず怖がるより、何が怖いかを分かりたい」と力を込める。臨界事故後、主婦から原子力学習施設の説明係になった。住谷さんも「今は放射線量の基準は、ある程度分かる」と防災無線に耳を傾ける。

 ただ、約20時間で臨界が止まった12年前と違い、今回は原発の安定化まで期間が長期化している。放射性物質拡散の懸念は、海水や土壌、農水産物など広範囲に及ぶ。恵利さんは「空気や水、食べ物が個別に大丈夫でも、積算したらどうなるかリスクを知りたい」と不安をのぞかせた。

 群馬大学大学院工学研究科の及川康講師(社会環境デザイン工学)は「一般的に数値情報の公表は、情報を受ける人に理解力があるかが肝心。理解が不十分の場合は、数値の解釈の仕方も公表することが必要」とみている。

村上・東海村長に聞く 風評被害防ぐ根拠に

 放射線量など数値を伝えるのは、住民に現状を納得してもらう手段。現時点では臨界事故を経験した東海村民だから意味が分かるのだと思う。ただ、風評被害を消すためにも、根拠となる数字を伝えなければならない。

 今回の原発事故の対応は、臨界事故を機に制定された原子力災害対策特別措置法に基づいており、政府の対策本部立ち上げは、比較的スムーズだったと評価できる。

 ただ、臨界事故の教訓が生かされないのは、原発の地元自治体と政府対策本部で、情報が共有されていないことだ。臨界事故を機に設けられたオフサイトセンター(緊急事態応急対策拠点施設)を拠点に、一体で事故対応するはずが、自治体は無視されていると感じているのではないか。首長の心労を思うと、私どもの比ではない。

(4月19日朝刊掲載)



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