どうしんウェブ 北海道新聞

気になるお尻のお話

(1)痔が多い訳 恥ずかしさから治療敬遠 <樽見研> (2009/07/22)

 日本人の3人に1人、あるいは2人に1人が患っていると言われるほど、われわれにとって身近な病気である「痔(じ)」。その不快さ、つらさを経験されたことのある方も多いと思いますが、そもそもなぜ日本人には痔が多いのでしょうか。

 かつては和式トイレが日本人の痔を悪くしている原因とされていました。いまだに踏ん張りがきくという理由から和式トイレの根強いファンがいますが、少なくとも今は各家庭のトイレのほとんどは洋式トイレですし、公共施設の公衆トイレも多くは洋式トイレに置き換わっています。それなのに日本人の痔は減ってはいません。

 実は日本人は欧米人にくらべて痔になりやすいという科学的な根拠のあるデータはありません。わが国では痔の症状に悩んでいても自分は痔が悪いということを口外しない方が多く、また大半の方がなかなか病院を受診しようとはしません。そのため隠れた痔の患者の実数まで把握するのは困難なのです。

 日本人にはお尻は人目にさらしたくない場所、痔は恥ずかしい病気といった常識が蔓延(まんえん)し、この常識が痔を治療する機会を遅らせ、自分の痔を悪化させている方が非常に多いのです。また医学の分野でも痔は軽視され、研究が遅れてきた経歴もあります。そのため日本では民間療法(代替医療)が横行してきた領域の病気です。

 それでは一体痔とはどういう病気なのでしょうか。もっとも痔という言葉自体が日本独特の表現であり、たとえば英語では痔に当てはまる単語が見あたりません。あえて訳するならAnal disease《肛門(こうもん)の病気》ということになります。痔とは肛門に発生する病気の総称なのです。ただ痔と言った場合、多くは痔核(じかく)(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、痔瘻(じろう)の三つの病気(3大痔疾患)を指します。

 次回よりそれぞれの痔の病気についてもう少し詳しくお話ししていきます。


<略歴>
 たるみ・けん 札幌いしやま病院副院長。医学博士。札幌医大卒。1999年から現職。網走管内斜里町生まれ。44歳。

気になるお尻のお話 コンテンツ一覧

このページの先頭へ