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心に届けたい心臓の話

(1)働き者 1日10万回休まず収縮 <甲谷哲郎> (2010/10/06)

 「心」という字は、心臓と血管を表す象形文字に由来すると言われています。肺で酸素を取り入れたきれいな血液は、心臓から動脈へ押し出されて全身に栄養を運び、二酸化炭素など不要なものを回収しながら静脈を通って再び心臓へ戻ってきます。心臓は体のすみずみまで血液を循環させるポンプの役割を果たしているのです。

 この全身へ血液を押し出す圧力が、皆さんがいつも測定している血圧です。1回の拍動で約70ミリリットル、1分間で5リットルの血液を送り出しています。血圧は130ミリメートルHg(収縮期血圧)程度が正常ですが、これは水を満たした垂直な管で測ると、約1.8メートルまで水を押し上げる力に相当します。

 これだけ大きな力を発揮する心臓ですが、大きさはその人のこぶし大程度と意外に小さく、約300グラム程度にすぎません。心臓は心筋という特殊な筋肉で作られ、高い血圧で1日約10万回収縮する元気な働き者です。

 不平も言わず黙々と働き続けている心臓ですが、何十年も収縮し続けていれば、ときに故障が生じるのも当然です。日本人の死亡原因をみると1位はがんですが、2位が心臓病なのです。心臓が黙って働くのをいいことに、大事にしていない人が多いのかもしれません。動悸(どうき)、息切れ、胸痛などの症状は働き者の心臓の悲鳴なのです。

 このコラムでは心臓病の原因や病態、治療、予防などについて、わかりやすくお話ししていきます。しばらくお付き合いください。

<略歴>
 こうや・てつろう NTT東日本札幌病院循環器内科部長。北大医学部卒。米マイアミ大研究員、北大循環器内科助教授などを経て、2002年より現職。57歳。

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