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肺の不思議な世界

(1)息苦しさ 限界知らせる警告 <西村正治> (2009/03/04)

 生まれてから死亡するまで、呼吸は休むことなく続きます。大気中の酸素を体内に取り込み、体内で産生された二酸化炭素を体外に排出するために行われます。

 普段はほとんど意識することなく人は呼吸をしています。ところが、健康な人でも走ったり、息をこらえたりすると、息苦しさを感じます。富士山のような高い山の頂上では、空気が薄いためにちょっと歩くだけでも息苦しさを感じます。鼻をつまんで、ストローで呼吸をすることを想像してみてください。

 さまざまな肺の病気で起こる息苦しさも、実はその原因はいろいろです。身体に取り込まれる酸素が足りなくて息苦しいこともあれば、酸素は足りているのに空気の通り道が細くなって息苦しさを感じたり、肺が十分に広がらないために息苦しいこともあります。

 原因により対策は異なります。「息苦しい」という表現は複数の異なる感覚が含まれているとする説もあります。しかも同じ程度に重い肺の病気になっても、息苦しさの程度は患者さんによって大きく異なるのです。痛みに敏感な人と鈍感な人がいるのと同じです。

 息苦しさを感じない人の方が楽と考えがちですが、時にまずいこともあります。例えば気管支喘息(ぜんそく)の発作を起こしたときに病院を受診するのが遅れ、重症化しやすいという研究もあります。息苦しさは肺の働きの限界を知らせる警告でもあるからです。
(20回程度連載します)

<略歴>
 にしむら・まさはる 北大病院第1内科教授。同大医学部卒。米マサチューセッツ総合病院などを経て1997年北大助教授。2001年から現職。江別市生まれ、56歳。

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