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テレビもない秘境 山の湯のぜいたく 岩内 朝日温泉/通信員リポート/ニュース教室 (2007/06/16)

人里(ひとざと)はなれた山(やま)の中(なか)にある朝日温泉(あさひおんせん)。歴史(れきし)を感(かん)じさせる建物(たてもの)ですね

川辺(かわべ)にある男女混浴(だんじょこんよく)のろ天(てん)ぶろ。左(ひだり)おくに見(み)える木(き)の橋(はし)をわたります

宿(やど)の近(ちか)くの小屋(こや)に置(お)かれたディーゼル発電機(はつでんき)を見守(みまも)る、湯守(ゆもり)の畠山(はたけやま)さん

 北海道(ほっかいどう)は温泉(おんせん)が多(おお)いよね。温泉(おんせん)に入(はい)る人(ひと)がとまる旅館(りょかん)やホテルもあちこちにあります。中(なか)には山(やま)おくで電線(でんせん)も電話線(でんわせん)も引(ひ)けず、テレビも水道(すいどう)もない温泉宿(おんせんやど)があるんだよ。そんな秘境(ひきょう)の宿(やど)の一つ、後志管内岩内町雷電(しりべしかんないいわないちょうらいでん)の朝日温泉(あさひおんせん)に行(い)ってきました。《町田誠(まちだまこと)》

のみ水は川から 電気は「つくる」 自然たっぷり別世界

 日本海(にほんかい)沿(ぞ)いの国道(こくどう)から雷電山(らいでんさん)へ。車(くるま)がやっとすれちがえる細(ほそ)さの、曲(ま)がりくねった山道(やまみち)を十五分ほど行(い)くと、朝日温泉(あさひおんせん)はあります。標高(ひょうこう)は約(やく)四百メートル。宿(やど)は木造(もくぞう)で、雪(ゆき)が積(つ)もる冬(ふゆ)はお休(やす)みです。この温泉(おんせん)は、江戸時代末期(えどじだいまっき)の一八四四年に見(み)つかったんだって。

 二○○五年から温泉(おんせん)と宿(やど)を管理(かんり)している湯守(ゆもり)の畠山彰吉(はたけやましょうきち)さん(60)が案内(あんない)してくれました。畠山(はたけやま)さんは温泉(おんせん)の営業中(えいぎょうちゅう)、宿(やど)に住(す)みこんでいます。

 実(じつ)は朝日温泉(あさひおんせん)は、畠山(はたけやま)さんの前(まえ)に湯守(ゆもり)をしていた男性(だんせい)が体(からだ)をこわし、○一年秋(あき)から閉(し)まっていました。札幌(さっぽろ)で会社員(かいしゃいん)をしていた畠山(はたけやま)さんは朝日温泉(あさひおんせん)のファンで、「もったいない」と思(おも)い、前(まえ)の湯守(ゆもり)などと話(はなし)をして温泉(おんせん)を再開(さいかい)しました。閉館中(へいかんちゅう)に雪(ゆき)の重(おも)みで屋根(やね)がつぶれていて、直(なお)すのは大変(たいへん)だったそうです。

 電線(でんせん)がないかわりに、電気(でんき)は二基(き)のディーゼル発電機(はつでんき)で自家発電(じかはつでん)しています。発電機(はつでんき)は音(おと)がうるさいので、宿(やど)の近(ちか)くの小屋(こや)に置(お)いています。宿(やど)には共用(きょうよう)の冷蔵庫(れいぞうこ)や電子(でんし)レンジはあるけれど、テレビは映(うつ)らないので部屋(へや)にはありません。電話線(でんわせん)が引(ひ)けず、けい帯(たい)電話(でんわ)の電波(でんぱ)も届(とど)かないので、通信手段(つうしんしゅだん)は衛星電話(えいせいでんわ)です。洗(せん)たくや料理(りょうり)に使(つか)う水(みず)は、さわの水(みず)をじょう化(か)しています。まさに「秘湯(ひとう)」だね。

 ろ天(てん)ぶろは宿(やど)のすぐ裏(うら)の森(もり)の川辺(かわべ)にあり、木(き)の板(いた)をわたした二本(ほん)の“橋(はし)”を通(とお)ります。簡単(かんたん)なだつ衣(い)所(じょ)があるほかは湯船(ゆぶね)だけで、男女混浴(だんじょこんよく)です。でも畠山(はたけやま)さんがほかのお客(きゃく)さんに、交代(こうたい)で使(つか)うよう呼(よ)びかけてくれるので、女性(じょせい)も安心(あんしん)して入(はい)れそう。

 取材(しゅざい)に訪(おとず)れた時(とき)は、若(わか)い男性(だんせい)が二人いました。何回(なんかい)も来(き)ているという札幌市白石区(さっぽろししろいしく)の会社員(かいしゃいん)、杉村貴行(すぎむらたかゆき)さん(28)と、初(はじ)めて来(き)た同市南区(どうしみなみく)の会社員(かいしゃいん)、大坂壮志(おおさかまさし)(29)さん。二人は「ちょうどよい湯加減(ゆかげん)で長(なが)く入(はい)れます」「つかれがとれますよ」と気持(きも)ちよさそう。

 記者(きしゃ)も入(はい)ってみました。お湯(ゆ)は白(しろ)っぽい色(いろ)で、少(すこ)し「いおう」のにおいがします。聞(き)こえてくる音(おと)は川(かわ)のせせらぎだけで、別世界(べつせかい)のようです。自然(しぜん)の中(なか)なので、いろいろな虫(むし)やトカゲもいたよ。

 宿(やど)には男女別(だんじょべつ)の内(うち)ぶろもあり、シャワーはないですが天然(てんねん)の温泉(おんせん)です。畠山(はたけやま)さんは「余計(よけい)なものが何(なに)もないという、町中(まちなか)では味(あじ)わえない良(よ)さがあります。季節(きせつ)ごとの自然(しぜん)を、存分(ぞんぶん)に楽(たの)しめますよ。子(こ)どもたちも一度(いちど)来(き)てほしいですね」と話(はな)していました。


 朝日温泉(あさひおんせん)の営業(えいぎょう)は5月初(はじ)め−10月末(まつ)。日帰(ひがえ)り入浴(にゅうよく)は午前(ごぜん)9時−午後(ごご)7時で大人(おとな)600円(えん)、4歳(さい)−小学生(しょうがくせい)は300円(えん)、3歳(さい)以下(いか)は無料(むりょう)。素(す)どまりは5500円(えん)、朝食(ちょうしょく)つきは6600円(えん)で、夕食(ゆうしょく)は持(も)ちこみか自(じ)すい。部屋(へや)は7室(しつ)。(電)080・1870・1867(衛星電話(えいせいでんわ))。このほか、桧山管内今金町(ひやまかんないいまかねちょう)の奥美利河温泉(おくぴりかおんせん)なども、電話(でんわ)や電線(でんせん)がない秘湯(ひとう)として知(し)られています。



<通信員リポート> 生態系を大切にしたい

苧毛大輝(うけだいき)《北見市(きたみし)・西小(にししょう)6年》

 ぼくは自然(しぜん)かん境(きょう)に興味(きょうみ)があります。北海道地方(ほっかいどうちほう)に、人間(にんげん)が外(そと)の地方(ちほう)から持(も)ちこんだセイヨウオオマルハナバチというハチが植物(しょくぶつ)の生態系(せいたいけい)をこわしています。首(くび)のあたりが黄色(きいろ)く、おしりが白(しろ)いのが特(とく)ちょうです。

 花粉(かふん)にふれるのではなく、花(はな)の根元(ねもと)あたりに穴(あな)を開(あ)け、みつだけをとっていきます。そのせいで植物(しょくぶつ)の受粉(じゅふん)がうまくいかず、その植物(しょくぶつ)がなくなる可能性(かのうせい)があります。

 ぼくたちの食(た)べている野菜(やさい)や肉(にく)、魚(さかな)のすべては、自然(しぜん)の中(なか)で生(い)きています。自然(しぜん)を大切(たいせつ)にしなければならないのは、人間(にんげん)が自然(しぜん)の生態系(せいたいけい)をこわすと、人(ひと)も生(い)きていけなくなると思(おも)うからです。



<ニュース教室> ナポレオンの子孫 フランス総選挙に出馬

 フランス皇(こう)ていナポレオン一世(せい)(一七六九−一八二一年)の血統(けっとう)につらなる男性(だんせい)が最近(さいきん)、フランスの総選挙(そうせんきょ)に立候補(りっこうほ)して話題(わだい)になりました。

 報道(ほうどう)によると、この人(ひと)はシャルル・ナポレオンさん(56)。ナポレオン一世(せい)の弟(おとうと)の子孫(しそん)で、銀行幹部(ぎんこうかんぶ)などを経(へ)て祖先(そせん)の出身地(しゅっしんち)コルシカ島(とう)で副市長(ふくしちょう)などを務(つと)め、国民議会(こくみんぎかい)(下院(かいん))の選挙(せんきょ)に出馬(しゅつば)しました。

 「伝統(でんとう)の家名(かめい)を利用(りよう)した政治活動(せいじかつどう)」といった批判(ひはん)に対(たい)しシャルルさんは「祖先(そせん)と名前(なまえ)は同(おな)じでも、政治(せいじ)てつ学(がく)は別(べつ)」と、い大(だい)なる祖先(そせん)との「立場(たちば)のちがい」を強調(きょうちょう)していましたが、十日の投開票(とうかいひょう)で低(ひく)い支持(しじ)しか得(え)られず落選(らくせん)しました。

 祖先(そせん)のナポレオン皇(こう)ていは、少年時代(しょうねんじだい)に差別(さべつ)をもう勉強(べんきょう)ではね返(かえ)し陸軍士官(りくぐんしかん)になり、フランス革命(かくめい)(一七八九年)を経(へ)て司令官(しれいかん)に出世(しゅっせ)。ヨーロッパ各地(かくち)で敵(てき)を打(う)ち負(ま)かしフランス皇(こう)ていに上(のぼ)りつめました。武運(ぶうん)がつきて不(ふ)ぐうのうちに亡(な)くなりましたが、英(えい)ゆう伝説(でんせつ)は不(ふ)めつです。

 今回(こんかい)のように、現実(げんじつ)の子孫(しそん)がひょっこり登場(とうじょう)して選挙(せんきょ)に出(で)たりすると、学校(がっこう)で「歴史(れきし)」として習(なら)っていることが、現実(げんじつ)にあったことなのだ、と実感(じっかん)させられるね。

 こうしたニュースや話題(わだい)も参考(さんこう)に歴史(れきし)を勉強(べんきょう)すると、今(いま)につながる事実(じじつ)の積(つ)み重(かさ)ねがし激的(げきてき)で、どんどん興味(きょうみ)がわいてくるよ。

《編集委員(へんしゅういいん)・安宍一夫(あじしかずお)》

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