連載コラム がんばれファイターズ
いつか、再び ファンが育てた大投手<えのきど いちろう> (2012/01/31)
思えば「新庄剛志入団会見」以来の伝統だ。ダルビッシュ有のお別れ会見は札幌ドームを無料開放して、公開イベントの形をとった。1万人以上のファンが駆けつけ、彼の言葉を待つ。ダルビッシュは早々と、移籍球団との契約が決まったら北海道で会見を開きたいと表明していた。自分の言葉で経緯を報告し、感謝の気持ちを伝えたい―ということだ。
僕は本当にさわやかな会見だったと思う。印象に残ったのは「打者と勝負したい」という投手としての本能だ。北海道のファンは入団からずっとダルビッシュの成長を見守ってきた。大いに誇っていいことだ。ルーキーイヤーは春季キャンプの不祥事で始まった。当時の写真を見るとダルはひょろひょろののっぽだ。それが心身ともに逞(たくま)しく成長して、押しも押されもせぬ日本一の大投手となり、今、米球界へ勝負しに行く。その気持ちをまっすぐに語る。北海道のファンは素晴らしい若者を育てた。 もちろん僕らはどこへ行ったってダルビッシュを応援するだろう。個人的には道新観光に「えのきどいちろうと行くテキサスレンジャーズ観戦ツアー」を即刻、企画してもらいたいが、とりあえずNHK―BSの大リーグ中継は見逃さないようにしたい。まぁ、ロマンとしてはいつかキャリアの晩年になって、もう一度、ファイターズのユニホームを着てくれることだなぁ。現役を退いた後、コーチとしての復帰でもいい。縁は切れない。僕らはこれからもつながりが途切れないのを望む。 さて問題は「ポスト・ダルビッシュ」の時代を迎えたファイターズだ。当たり前だが、これはカンタンには埋まらない。エースは誰になるのか? 実績を言えば武田勝だが、あるいは誰か若武者が名乗りをあげるのか? 少なく見積もっても15勝消えてしまう分、野手もふくめてどういう野球で補っていくのか? 中田翔は本物のスターとしてチームを牽引(けんいん)していけるか? ファン注目の「2012シーズン」が始まる。今年はキャンプから栗山新監督の構想や、選手らの取り組みに耳目が集まる。新しいチームを強くしよう。きっとダルビッシュだってアーリントンの街で応援してくれる。(えのきど いちろう・コラムニスト) |
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