オバマの挑戦
<1>【地殻変動】 新閣僚 党派超え起用模索 (2008/11/07)
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47歳の若き政治家バラク・オバマ氏は「変革」を訴え、米大統領選で当選した。金融危機の直撃や格差の拡大、出口の見えない対テロ戦争…。傷ついた米国の再生は可能なのか。初の黒人大統領誕生という高揚感が国を覆う中、オバマ氏の挑戦が始まる。
歴史的な選挙戦から解放されたオバマ氏は五日、シカゴの自宅で家族と久しぶりに朝食を取った。近くのジムに向かう途中、「眠れたかい」と報道陣に語りかけるなどリラックスした様子だった。 だが、その裏では次期政権の骨格づくりが早くもスタート。ワシントンでは共和党のブッシュ政権で国務長官を務めたコリン・パウエル氏(71)の名前が飛び交った。 選挙中、民主党のオバマ氏支持を打ち出したパウエル氏に対し、オバマ氏は高官ポストを用意する考えを示唆していた。党派を超えた政権づくりは、ワシントンに地殻変動をもたらす可能性もある。 過去二回の大統領選で二極化していた支持層にも大きな変化があった。 「働く者たちがわが国を取り戻した」。民主党の支持基盤で米最大労組の米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)のジョン・スウィーニー会長は五日、自信に満ちた表情で宣言した。 選挙戦で全米の激戦州では、AFL・CIOを母体とする団体「ワーキング・アメリカ」の勧誘員たちが精力的にオバマ氏支持に奔走。勧誘員たちは「オバマ氏の秘密兵器」と呼ばれた。 照準は、民主党候補が弱点としてきた白人労働者層。知識人や若者が先導したベトナム反戦や公民権運動など進歩的な気風に反感を持ち、伝統的価値観を重んじる。ニクソン元大統領が「サイレント・マジョリティー(声なき多数派)」と呼び、支持基盤に取り込んで以来、共和党を支えてきたが、同層の多数がオバマ氏に投票した。「彼らは目覚めた。『声なき多数派』が声を上げ始めたのです」。ワーキング・アメリカのナスバウム事務局長は、政治基盤の地殻変動が起きているとみる。 インターネットによる小口献金といった草の根的な支援も大きな岩盤に風穴を開けた。 こうした背景には、国民の間に広がる経済への強い危機感がある。暮らしと家計はどんどん悪くなっている。経済政策は次期政権の試金石になるが、危機的な財政赤字を抱える中、有効策を打ち出せるか、早速正念場を迎える。 金融危機は世界に広がった。オバマ氏当選を主要国は「米国民は進歩と未来を疑わない信念を示した」(サルコジ仏大統領)などと歓迎。世界不況阻止に向け、オバマ氏への期待は膨らむばかりだ。 「変化の風を起こしたい」と願う人々の声に対し、オバマ氏は現状をどう打開していくのか。「オバマ氏は従来の米国とはまるで違う表情を世界に見せることになるだろう」。ハーバード大のジョセフ・ナイ教授はこう予測するが、オバマ氏がもたらした地殻変動のうねりをどのように成果に結びつけていくか、力量が問われる。(ワシントン・三浦辰治) |



